【アークザラッドR】配信までにアーク1とアーク2のストーリーを確認できる動画や世界観、ストーリーまとめ

  • 2018.08.07
【アークザラッドR】配信までにアーク1とアーク2のストーリーを確認できる動画や世界観、ストーリーまとめ

アークザラッド2 アークザラッドR

アークザラッド1のプレイ動画

アークザラッド2のプレイ動画

 

アークザラッド1の世界観

国家

スメリア

精霊の国とも呼ばれるハルシオン大陸東部に位置する島国。首都はパレンシアの都。
精霊山シオンには封印の炎があり、ククルが炎を消したことで物語が始まる。
聖櫃が眠る国。
国王ロマーヌが統治し、アーク達に五大精霊石を集める使命を与える。
魔物の発生する場所が多く、また移動出来るエリアが最も多い。
本作の始まりと終わりを担う地。
この国に眠る五大精霊は火の精霊。また眷属である炎の精霊も登場し、その存在が『II』の主人公にある影響を与えている。
パレンシアの王城地下にはバイオ研究所と呼ばれる生命力エネルギーの研究施設があり、捕獲した炎の精霊をタンクに閉じ込めてエネルギーに変換する研究を行っている。このエネルギー研究によりスメリアは他国よりも急激に繁栄した経緯がある。
超大国ロマリアから送り込まれたアンデル大臣の手によりスメリア国軍兵士の中にもモンスターが多数紛れ込んでおり、アンデル発案の住民を選別して軍の許可なしに首都パレンシアの出入りを禁止する「パレンシア改造計画」を強引に推し進めている。
なお、モンスター達によると「大王」が最も恐れていた国だが、政治腐敗と王家の凋落が顕著であるためか、「何もしなくても腐っていく」と評している。
物語終盤、アンデルに国王が暗殺され、首都で建設中のパレンシアタワーに国家安全委員会が設立。委員長に就任したアンデルにより首都パレンシア全域に戒厳令が布告され、スメリアはロマリアに完全に乗っ取られてしまう。

ミルマーナ

ハルシオン大陸の南東部にある自然が豊かな国。
20年前にスメリアと戦争をしていた。
トヨーケの森に恵みの精霊がいて、元は平和で静かな王政国家だったが、現在は数年前に国王夫妻がモンスターに殺害されたため、治安維持の名目でロマリアから派遣されたヤグン将軍が都に軍本部を置き、モンスター対策として臨時編成された軍部を利用してミルマーナ全域に無期限の軍政を敷く形で国を操っている。
国外への移動も原則として軍部の許可が必要されている。
国民への食料は軍部から購入するしかないが、その価格は決して安くはなく、国民の多くは軍への不満を抱えており、中にはスパイまで存在する。
しかし、その半面でヤグン政権下ではミルマーナ各都市でのモンスターの被害が激減しており、将軍への軍人たちの支持は高い。
作中訪れることが可能な国家の中で唯一、五大精霊が存在しない国。
ミルマーナの国を荒らすモンスターはスメリアよりも強力であると言われており、軍部でもモンスターとの掃討戦を「戦場」と表現している。
トヨーケの森はミルマーナ軍でも手を焼くほどのモンスターが生息しており、進入には軍部の許可を得た上で、軍の巨大軍用列車に搭乗する必要がある。
続編ではヤグンがロマリア四将軍の一人であることが判明し、本作登場時点でロマリアに乗っ取られている状態であったことが明らかになる。

アララトス

ハルシオン大陸西部に位置する砂漠の国。
首都のガザルアには大規模な闇市が存在し、遺跡から盗掘された品々で賑わっており、チョンガラの店もこの闇市に位置する。
3000年前の古の時代に起きた大崩壊の後に人々が行き着き、初めて町が出来たという、人類発祥の地で大崩壊以前の物も遺跡の奥深くにはあるという。
移動出来る場所は一時的に訪れられる光の洞窟を除けば二つと、非常に少ない。
この国に眠る五大精霊は光の精霊。
この国には遺跡ダンジョンと呼ばれる本作屈指の規模と難易度を誇るダンジョンが存在する。

グレイシーヌ

ハルシオン大陸東部にある大国。
グレイシーヌ独特の宗教ラマダ教の総本山ラマダ寺がある国であり、森林と山に覆われた鎖国の国。ラマダの僧は拳法に精通しており、『気』と呼ばれる力を使い、離れた相手にも攻撃する事が出来る術を持つことが出来るため、他国では人間兵器としても恐れられていると言われる。
全体的な街づくりは中国に近く、アジアンテイストにあふれている。
一時的に訪れられるラマダ山があるほかは二か所と、アララトスに並ぶ少なさ。
この国に眠る五大精霊は地の精霊。
ラマダ寺の大僧正を始めとする上層部はロマリアに乗っ取られており、僧兵たちはその事実を知らないまま日々鍛錬に勤しんでいる。
続編ではリューゲン国王を元首とする君主制国家で、ロマリアに次ぐ世界第二位の大国であるとされ、警戒されている。

ニーデル

ロマリア大陸南西部に位置する小国。
作中で最も小さい国だが、富豪が集う国であり闘技場がおかれている。
闘技場での戦いがこの国で最も人気のある娯楽である。
もともとは大航海時代を制した大国だった。
アララトス以上に移動範囲が少なく、移動出来るのは闘技場と空港のみと最少を誇る。
この国に眠る五大精霊は風の精霊。

アリバーシャ

アデネシア大陸に位置する砂漠の国。
かつては緑の豊富な国であったが、1000年前、ロマリアから来た人物による動力石という機械を動かす石の発見により他国に高値で売りつけたことで、国は大きく栄えた。
しかし、自然のバランスを無視した急激な採掘を繰り返した結果、アリバーシャの国土は急速に渇き、現在の砂漠だらけの国になったといわれている。
水の神殿内部は当時と同じ環境を維持しているが、水の精霊によるとかつてはこの国全体が神殿の様だったという。
現在でも国の至る所に動力石の採掘プラントで存在し、資源採掘を続けている。動力石は兵器にも大量に利用されるため、ロマリアからも目を付けられている。
本来は水の精霊の加護を受け、水の神殿を代々守護したサリュ族という民族が本来治めていたが、現在はそのロマリアから来た人物の子孫であるアリバーシャ国王が治めている。
しかし、実質的な権力者は国王配下でアリバーシャ軍部を統括しているカサドール将軍が独裁者として君臨している。
この国に眠る五大精霊は水の精霊。

ロマリア

西の果てにある世界一の大国。
スメリアのアンデル大臣やミルマーナ国軍の将軍ヤグンはこの国から派遣されている。
また、ミルマーナ軍が誇る巨大軍用列車は全てロマリアの払下げである事から非常に高い技術力を誇る。
世界支配を進めている国であるとされており、スメリア王ロマーヌの暗殺やスメリア国、ミルマーナ国を衛星国化する等、世界の裏側で暗躍している。

登場人物

アーク・エダ・リコルヌ

【アークザラッド1】
誕生日:8月23日 年齢:15歳 身長:170cm 体重:57kg 血液型:A型 出身地:スメリア・トウヴィルス

メリアの辺境・トウヴィルで、母親と二人暮らしをしている少年。10年前に行方不明になった父・ヨシュアを探すため、父が消息を絶ったとされるシオン山に向かう。
そこでアークデーモンに重傷を負わされた際に山の精霊より精霊魔法を授けられ、やがて自身の運命を知った事で聖柩を求める旅に出る。
正義感が強く情熱的な性格だが、プライベートでは毒舌が多く、勇者らしからぬ現実的でそっけない返しも多い。
トヨーケの森にて恵みの精霊より勇者の証を授けられ、各国を巡って五大精霊を救出し、聖柩の試練を乗り越えて「勇者の力」を得た。
直後にアンデルに聖柩を奪われ、トゥヴィルの人々を人質に取られた事で拘束されてしまうが大地の隆起に乗じて脱出。
エンディングにて仲間と共に世界へ旅立ち、世界の命運を賭けたロマリアとの長く果てしない戦いが始まる。

【アークザラッド2】
誕生日:8月23日、年齢:16歳、身長:175cm、体重:59kg、血液型:A型、出身地:スメリア・トウヴィル

前作の主人公。五大精霊に選ばれし勇者。
精霊の導きにより聖柩を見つけ、勇者の力を手にしたが、スメリアの大臣で、ロマリア四将軍の一人アンデルの策略で、スメリア王の殺害犯にされてしまう。
各国で仲間ともども、指名手配にされている。
彼の懸賞金は100万ゴッズと作中でも破格のもの。
前作の血気盛んな性格はなりを潜め、冷静で落ち着いた雰囲気を漂わせる。
パーティーのリーダーとして指針を示すことが主体となり、年齢にそぐわぬほどの行動力と冷静さを合わせた姿を見せる。
しかし、胸のうちには「これ以上悲劇を繰り返させない」という堅い決意を秘めており、個性的な仲間たちを纏め上げてロマリアの暴虐に正面から立ち向かっていく。
物語の後半では、エルクと共にもうひとりの主人公として物語の中心人物となる。
エンディングではククルと共に世界を守るため、自らの命と引き換えに行動を起こす。

ククル・リル・ワイト

【アークザラッド1】
誕生日:6月26日 年齢:17歳 身長:165cm 体重:48kg 血液型:AB型 出身地:スメリア

トウヴィルの名門・ワイト家出身の少女。
昔からの習わしに逆らい、自由に生きたいと思っている。
しかしそれをアンデルの息が掛かった村長に利用され、村から出られると唆された事でシオン山の封印の炎を消してしまう。
過ちに気付いて再度火を灯しに行こうとした所でアークと出会い、後に「勇者を支える」というワイト家の使命を知った事でアークに付いて行く事を決める。
勝気で活発、男勝りな性格をしているが、いざというときは慎重になり臆病と揶揄されることもある。
オドンがククルに化けた時は「なんて可愛いの!」と自惚れると言った意外な一面も。
使用武器はなく徒手空拳、中でも蹴りを好んで戦う。
聖柩の試練を乗り越えた後、「聖母の力」を授けられ、ただ1人トゥヴィルに残ってアーク達の戦いを支える事を天より告げられる。
トゥヴィルの地が隆起した際にそのままアーク達と引き離され、飛び立つシルバーノアをククルが見送る場面で物語は一旦の幕となる。

【アークザラッド2】
誕生日:6月26日、年齢:18歳、身長:167cm、体重:49kg、血液型:AB型、出身地:スメリア

前作のヒロインで神官。
前作では戦闘に参加していたが、闇の力の復活を防ぐため、地形の変化したトウヴィルの神殿に留まっている。
自分の巫女としての運命を受け入れたためか、アーク同様に強気な性格はなりを潜めており、年齢にそぐわぬほど大人びて静かな物腰を崩さない。
また外見が最も変わったキャラクターであり、いわゆる巫女服を意識したような独特の衣装をまとい、ポニーテールにしていた髪も下ろし、ストレートになっている。

ポコ・ア・メルヴィル

【アークザラッド1】
誕生日:2月22日 年齢:15歳 身長:156cm 体重:78kg 血液型:B型 出身地:スメリア・ダウンタウン

パレンシア侯軍の兵士。
内気な少年で、争いごとを好まない。
幼い頃、太鼓を手にしたことで音楽の楽しみを知り、また、音楽の精霊に愛されてもいる。
モンスターの討伐隊に参加した際、他の兵士は全滅。
隠れていてただ1人生き残った所をアークと出会う。
軍の生活に馴染むことができない日々を送っていたが、アークとの出会いにより変わっていく。
基本的に気弱な方だが、怖いもの知らずなことやシニカルな物言いをすることもある。

【アークザラッド2】
誕生日:2月22日、年齢:16歳、身長:156cm、体重:79kg、血液型:B型、出身地:スメリア

スメリア国パレンシア候軍の新米兵士。
除隊済みだが、本人は今でも「パレンシア兵士」という自負で行動しており、軍服で通している。
気が弱かった性格も今ではなりを潜め、明るさと自信を手に入れているが、シニカルな言動があるのは相変わらずである。
今作では事情をよく知らないエルクを導き、また単独行動中にアンデルと遭遇し啖呵を切る、避難民の先頭に立ってモンスターから守るなど、成長した一面を見せている。
以前は何かと物怖じしていたが、今作では度胸が付きすぎたせいか常にマイペースである。
特に団体行動中は緊張感のない発言が多くなり、サニアに反論されたりどつかれることもしばしば。
その後、エルクたちと共闘しガルアーノを倒すも、アークに酷い火傷を負わせたエルクを許せず、意地を張っていたが、エルクにはエルクの理由があるのだと納得し、アークと仲良くなれればいいと思い、再びエルクの傷を癒してくれる。
ケラックたちとは仲がいい。
また、リーザと出会ったときは顔を赤くしていた。
トッシュにからかわれることが多いアーク一行のムードメーカー。

トッシュ・ヴァイア・モンジ

【アークザラッド1】
誕生日:8月12日 年齢:28歳 身長:181cm 体重:66kg 血液型:O型 出身地:スメリア

ダウンタウンにあるモンジ一家の若頭。
昔気質な男であり、自分の利益より弱者の救済や義理を優先する。
短気なのが玉に瑕。
相当な酒豪であり、「酒の精霊はいないのか」「もしいたらきっと何種類も存在する」などと熱く語ってアークにツッコミを入れられるほど。
義理の父であるモンジを誰よりも尊敬しており、その剣は彼譲り。
アンデルのパレンシア改造計画に反発した為に捕らえられ、モンジ一家の無事と引き換えに自ら連行される。
しかしその約束は反故にされ、一家は皆殺しに。
怒りに任せて脱獄した後にアーク達と出会う。
当初は1人で立ち去ったが、モンジの墓前でかたなの精霊の導きを受け、アーク一行に加わる。

【アークザラッド2】
誕生日:8月12日、年齢:29歳、身長:181cm、体重:66kg、血液型:O型、出身地:スメリア・ダウンタウン

弱者を救うことや義理を重んじる任侠の男。
紋次一家の若頭であったが、紋次親分がアンデルの陰謀によって捕えられ、窮地に陥ったところをアークと出会い行動を共にする。
本作ではロマリアに潜入し、レジスタンスを組織していたところ、同じ目的を持ったシュウと出会い彼との一対一との闘いを経て仲間になる。
懸賞金はアークと同じく100万ゴッズ。
子分たちを束ねていた経験とその人格を買われ、対ロマリアのレジスタンスを纏め上げるという大任を勤めている。
今作の時点からカリスマ性を発揮しており、続編での組の頭としての姿の片鱗を見せる。
一方、難しく考えるのが苦手で短気という短所もまた前作以上に現れており、イーガから「奴は何も考えていない」と言われる事も。
親代わりであり剣の師でもあった紋次をみすみす死なせてしまったこと、剣客として生前の紋次を超えられなかったことに強い悔いを残している。
ストーリー中では、思わぬ形でこれらの過去と向かい合うことになる。
血気盛んな男性で、ポコと並んでアーク一行のムードメーカーだが、常にアークのために行動し、アークに危害を加えるものは一切容赦しない苛烈さも併せ持つ。

ゴーゲン

【アークザラッド1】
誕生日:10月28日 年齢:不詳 身長:160cm 体重:47kg 血液型:O型 出身地:不詳

かつて聖柩を運んだと言われる七勇者の一人。
聖柩を運ぶ途中、強力な敵が現れたため、敵を道連れに我が身を封印した。
ヨシュアの導きでオルニスの丘の訪れたアーク達に封印を解かれ、旅に同行する。
その知恵と知識は冒険の道標となり、戦闘以外でも精霊石の声を聞けるなど、多彩な力を持つ。
しかし普段は飄々としており、プライベートではいい加減な返答も多く、アークに「物知りじゃない」と思われる事も。

【アークザラッド2】
誕生日:10月28日、年齢:不詳、身長:160cm、体重:47kg、血液型:O型、出身地:不明

数千年も前に聖柩を運んだ七勇者の一人。
アークにより永き眠りより解き放たれ今回の冒険に再び参加することになる。
その魔力は計り知れず、洗脳装置である女神像や巨大な岩を攻撃魔法で破壊するシーンが度々描かれる。
一方、少々物忘れが激しくなってきており、本作ではとぼけた面も数多く見られる。
フォーレスのキメラ研究所を捜索していた際、逮捕されたリーザと牢の中で出会い、再び人に絶望しかけた彼女の道標となる(この時の口ぶりでは、リーザがククルの導きでフォーレスを訪れる事を予め知っていた模様)。

イーガ・ラマダギア

【アークザラッド1】
誕生日:5月11日 年齢:35歳 身長:188cm 体重:80kg 血液型:A型 出身地:グレイシーヌグ

レイシーヌにある武闘派のラマダ寺にて、修行と弟子達の育成に専念する師範代。
5歳の時から現在に至るまで、一日も休むことなく武の道に精進し続けて来た。
大僧正を心から尊敬しているが故にアーク一行を追い返せと言う命令にも疑いなく従うが、アークとの一対一の決闘に敗れ、大僧正がモンスターに成り代わられていた事実を知らされる。
それによって自分の未熟さを知り、アーク達に同行を申し出る。
生真面目で寡黙な人物であるが、やや天然気味なところがあり、一部選択肢では彼だけ肯定と否定のものではなく、「うむ」のみとなることもある。

【アークザラッド2】
誕生日:5月11日、年齢:36歳、身長:188cm、体重:80kg、血液型:A型、出身地:グレイシーヌ

グレイシーヌ国ラマダ寺の師範代。
恩人である大僧正がモンスターにすり替わり、騙されていた事実を知りアークたちと行動を共にしていた。
今作では捕まったと見せかけてキメラ研究所に潜入したり、退魔光弾で洗脳装置を破壊すると言ったアクティブな活躍シーンが描かれる。
一方、アークがサインを求められた際は、自分に求められたのではない事を残念がったりと茶目っ気のある一面も見せる。
また、王に裏切られた失意から立ち上がる切っ掛けをくれたサニアには恩を感じており、精神的余裕の少ない彼女を気に掛ける場面も見られる。

チョンガラ

チョブリン・グルタン・ゴー・ガラッハ・ドブラン・ダダ13世

【アークザラッド1】
誕生日:12月3日 年齢:45歳 身長:170cm 体重:88kg 血液型:O型 出身地:ダダ

自称「冒険家」の骨董品商人。
かつてはバルバラード東方のダダ国の王族だったが、長い間の盗掘生活で損得勘定にまみれて欲の塊となっていた。
今のところ、遺跡ダンジョンの奥深くに眠る宝物を取りに行ける人物の捜索に力を入れている。
アーク一行が光の精霊を探している事を知り、道案内と引き換えに遺跡ダンジョンから召喚のつぼを取ってくる事を依頼する。
実は本編開始前に遺跡ダンジョンでヨシュアに命を救われており、アークの事を頼まれていた。
道案内が終わった後は自問自答の末、損得勘定を抜きにしてアーク達を追い掛ける。
パーティーにおけるムードメーカーであり、大半のイベントでコミカルな印象が残る人物。
一方でその知識や機転が助けになる事も多い。
自身は戦えるだけの力がなく、召喚獣を呼び出せることが強み。

【アークザラッド2】
誕生日:12月3日、年齢:46歳、身長:170cm、体重:88kg、血液型:O型、出身地:ダダ

アララトス王族の末裔で商人。
遺跡ダンジョンの盗掘で生計を立てていたが、アークと出会い行動を共にするようになる。
今作では戦闘に参加せず、飛行船シルバーノアの船長をしている。
前作では壷の中の召喚獣を操っていたが、その召喚獣たちは今作では人間・モンスターと同様にパーティメンバーとして参加する。
グラフィックの変更がククルに次いで激しく、青いコートをまとっている。

ちょこ

【アークザラッド1】
アララトス遺跡の地下50階で出会う赤毛の女の子で、自称「世界一の大魔法使い」。
ゲーム中の隠れキャラにあたる。
可愛らしい外見に反して事実上最強クラスのキャラクターであり、とりわけ入手のための戦闘では桁違いの破壊力を振るう。
チョンガラのつぼから召喚できるが、フリーバトルのみ使用可能。
その正体は魔王セゼクの娘・アクラが別の記憶を転移されたもの。
仲間にしたデータを次回作『アークザラッドII』にコンバートすると、ちょこの生い立ちが明かされる隠しイベントが用意されている。
本作だけ、以降の作品と性格や口調、服装が異なる。
名前は平仮名表記が正しいが、戦闘後に名乗る時に一度だけ片仮名で「チョコ」と表記される。
【アークザラッド2】
誕生日:7月14日、年齢:不明、身長:142cm、体重:33kg、血液型:AB型、出身地:???

アララトスの遺跡ダンジョン地下50階にいる女の子。
前作では召喚獣扱いの隠れキャラで、今作も隠れキャラの一人だが、前作「アークザラッド1」でちょこを仲間にしたデータをコンバートしていると、彼女に関する重大なイベントが発生する。
全ステータスが総じて優秀で、シリーズを通して最強の強さを誇るキャラクター。
また、前作には無かった特技を習得できるようになり、さらに破壊力が跳ね上がる。
ある意味でバランスブレイカーになりえる存在。
実は彼女の正体は魔族であり、それも彼らを統べる魔王セゼクの愛娘アクラ・エルヴァスである。
セゼクが没した後、その娘にラルゴが自分の娘「ちょこ」の記憶を刷り込み、本来の「魔族アクラ」としての記憶をトココ村の墓地に封じた結果が、現在のちょこである。
ラルゴの故郷であるトココ村で平和に暮らしてたが、ちょこ=アクラを探し求める魔族に村が襲われた際、村人がちょこに憎悪の矛先を向けて殺そうとする。
そして村人の斧が振り下ろされた際、愛狼のシルバが庇って死亡した事で感情と共に本来の魔力を爆発させ、村を滅ぼしてしまう。
以後、記憶と力を自ら封印し、父を含む村人の魂をグリーンスライムに移して何百年もの間、幻のトココ村を再現していた。
現在のトココ村は記憶石の墓に封じられている「魔族アクラ」によって滅ぼされる前のものが、幻として再現されているに過ぎない(村人は全てグリーンスライムを魂の器としたもの)。
彼女を仲間にしてエンディングを見た1のデータをコンバートし、専用のサブイベントをこなしていくことで、本来の姿に変わる「かくせい」が使用可能になる。
それにより開放される能力「ヴァニッシュ」は本作最強の威力を持つ特殊能力である。
エルクのインビジブル同様に、あるアイテムでMP問題を解決すると、ゲームバランスを崩壊させかねないほどになる。
覚醒後は魔人アクラそのものの姿になるが、漆黒だったアクラの翼と衣装は純白になり、口調と声も大人びて落ち着いたものになる。

エルク(エルクコワラピュール)

【アークザラッド2】
誕生日:4月11日、年齢:15歳、身長:160cm、体重:50kg、血液型:B型、出身地:東アルディア

主人公。物語後半では前作の主人公アークと共にダブル主人公の一人となる。
「炎使い」の異名を持つハンター。
アルディアの先住民ピュルカ族の末裔だが、幼いときにシルバーノアで襲来した正体不明の部隊により部族を皆殺しにされ、キメラ研究所の特殊能力研究機関「白い家」に連れて行かれる。
後に脱走に成功したが、砂漠に迷い込み行き倒れとなっていたところをシュウに助けられハンターとなる。
若年ながらプロディアスではすでに名の知れた存在。
言葉使いは悪く、ことなかれ主義なところもあるが正義感は強くロマリアの野望を阻止せんとする気持ちは強い。
ストーリー序盤、空港を乗っ取ったアルフレッド(後にシャンテの弟だと判明)を捕まえる仕事を請けたことがきっかけでリーザと出会い、彼女が怪しい集団に狙われていることを知り、成り行きで彼女と行動を共にするようになる。
謎の集団の黒幕ガルアーノも参加する式典に潜入した際に、式典を襲撃したアークの飛行船が自分の村を滅ぼした部隊の使っていた船であったことからアークを村の仇と思い込み、以後は中盤までアーク達を執拗に追うが、ガルアーノを打倒した後はアーク一行の目的を知って和解。
以降はロマリアの野望を阻止すべく、アーク一行と行動を共にするようになる。

リーザ・フローラ・メルノ

【アークザラッド2】
誕生日:9月8日、年齢:14歳、身長:156cm、体重:42kg、血液型:O型、出身地:フォーレス

前半のヒロイン。獣使い。
フォーレスのホルンの村出身で、村には生まれながら特殊な力を持つ者がいるため人里離れた高原の奥地に住んでいる。
両親については言及されておらず、係累は祖父一人。
ある日、キメラ研究所がホルンの住人が持つ力に目をつけ、リーザは捕らわれてしまう。
飛行船で研究所に搬送される途中寄港したアルディアで、偶然乗り込んできたエルクに助けられ、彼と行動を共にする。
ゲーム中、彼女だけがモンスターを仲間にする特殊能力を持つ。
なお、強制イベントでパーティが分断される際には、パンディット以下仲間モンスターはリーザに着いてくる。
中盤、白い家崩壊の際にアークに助けられるがエルクが瀕死の重傷を負ったことでしばらくの間は神殿で彼を看病しながら悲しみにくれる日々を過ごすが、ククルから自分の道は自分で切り開かなければならないと諭され、離れ離れになった故郷ホルンの人々の安否を確かめるため単身フォーレスへと向かう。
そこで怪しい魔女として一時警察に逮捕されるも、留置されていたゴーゲンと共に脱出。
祖父とホルンの村人達をキメラ研究所から救出後、ロマリアへと向かいエルク達と合流。
ガルアーノ打倒後はアーク達と行動を共にする。
大地の魔法を操るが戦闘能力は低く、回復魔法などでの支援役に適している。
しかし装備次第では前線でも活躍できる。
また、1のチョンガラと同じくモンスター図鑑を完成させるためにモンスターを調べるのは彼女の役目。
図鑑の内容はかわいらしい口調の割に結構辛口なコメントが多い。

パンディット

【アークザラッド2】
リーザと共に仲間に加わるモンスター。
青白い毛並みに、紺色のたてがみをもつ巨犬。
エルクと出会う前にキメラ研究所で行われた感応実験以後、リーザに忠実に付き従っている。

シュウ

【アークザラッド2】
誕生日:2月16日、年齢:25歳、身長:178cm、体重:62kg、血液型:AB型、出身地:不明

謎に包まれた凄腕ハンターであり身寄りがいないエルクの保護者でもある。
出身地や家族などについても不明。
ロマリアの暗殺部隊の出身、スメリアの奥地にある特別な村の出身などの噂があるが、どれも定かではない。
作中で唯一示唆される情報として、彼の師と思われる人物に成りすましたモンスターから処刑寸前のチンピラの身分であった際に助けられ、暗殺のプロとして仕立て上げられたという会話がある。
ストーリー中盤、白い家崩壊の際にアークに助けられるが、彼らを信用しきれずガルアーノを追うため、シャンテと共に行動を開始。
ロマリアの飛行船にてシャンテとはぐれるも単身でクズ鉄の町へ潜入。
そこでアークの仲間でレジスタンスのリーダーでもあるトッシュと出会い、レジスタンス壊滅の悲劇を乗り越え、彼と共にロマリアへ潜入。
その後は仲間の偽者に惑わされながらもエルク達と合流し共にガルアーノを打倒。
以降はアーク達と行動を共にする。

シャンテ・ドゥ・ウ・オム

【アークザラッド2】
誕生日:3月14日、年齢:23歳、身長:170cm、体重:50kg、血液型:B型、出身地:アルディア

幼い時に親に捨てられ弟アルフレッドと二人で暮らしていた。弟のことはアルと呼ぶ。
現在はインディゴスの酒場で歌手として暮らしている。
幼少期に稼ぎ手だった母を亡くし、売れない芸人だった父は酒に溺れてシャンテを虐待した。
シャンテは病弱な弟を守るため酷い虐待を一手に受け耐え続けていた。
後にアルともどもある男に売られて彼女は歌手になるも、病に冒されたアルが捨てられかけたことで、男を刺しアルを連れて逃亡。
しかし、ようやく大きな病院に入れることができたアルは姿を消してしまった。
弟の行方を探し続ける中、ガルアーノからアルの命をネタに脅迫され、やむを得ずエルクとリーザを狙う陰謀に加担するが、アルがすでに殺されていた真相を知り、仇を討つためエルク達と共にガルアーノ打倒を誓う。
白い家崩壊の際にアークに助けられ、シュウと共に行動を開始。
ロマリア戦艦にてシュウとはぐれ、流れ着いたクレニア島にてグルガと出会い、彼の義理の娘・エレナの問題が一段落した後にグルガと共にロマリア本拠地へ潜入。
エルク達と合流しガルアーノを打倒。
以降はアーク達とも行動する。

ヂークベック

【アークザラッド2】
身長:123cm、体重:123kgかつて、古の七勇者の護衛を務めた機神団の団長。
ヤゴス島でエルク達に発掘され、ヴィルマー博士によって修理されるも、当時の記憶を失っている(宿敵グロルガルデとの再会時のみ当時の記憶を取り戻す)。
同時代の住人であるゴーゲン同様、年寄り臭くトボケた言動が多い。
発掘時の姿はロボット系モンスターと同じだったが、修復後は似ても似つかない手足のついたストーブか焼却炉のような姿になり、戦闘時にはコミカルな動作を披露する。
ある隠しイベントやラストダンジョンなどでのやりとりを見るに、冒険を通じて記憶は修復されたようだが、普段はそれを表に出さず韜晦している模様。

グルガ・ヴェイド・ブラキール

【アークザラッド2】
誕生日:4月23日、年齢:33歳、身長:202cm、体重:102kg、血液型:B型、出身地:ブラキア

黒々とした屈強な巨躯が目を引く格闘家。
かつてニーデルの植民地だったブラキアを独立させた英雄。
しかし独立闘争がもたらした被害は大きく、多くの命が失なわれた責任をとり、盲目の戦災孤児エレナを養女として引き取って静かに暮らしている。
だが自分が本当の父親でないことは、今や実の娘のように溺愛しているがゆえの“父親”でいられなくなるかもしれないことに対する恐怖や、エレナの両親を結果的にとはいえ奪ってしまった負い目からか言えずにいるため、エレナ自身は彼を本当の父親だと信じている。
後にロマリアの策動に巻き込まれてエレナと引き裂かれかけ、失意で酒浸りとなるが、シャンテの激励もあって奮起。
すべての決着をつけるべく、覚悟を決めて真実を打ち明けるも、それでもエレナは彼を許して父親と呼んだ。
親子の絆を新たにした後は、シャンテに協力し、アーク達と共にロマリアに立ち向かう。
シナリオ中では見た目によらず思慮深く、弱みもある人物として描かれるが、戦闘では一転して烈しい闘争本能を露わにする。

サニア

サニエレ・アルノ・ヘ・ドバッチ・ミルマ

【アークザラッド2】
誕生日:10月31日、年齢:18歳、身長:165cm、体重:48kg、血液型:AB型、出身地:ミルマーナ

元ミルマーナ王国の王女。
王国を滅ぼしたヤグンに復讐するため、占い師として身を潜め機会を窺っていた。
ヤグンを倒そうとするアーク達に協力し、ミルマーナを見守ってきた恵みの精霊、ひいては全世界の危機を知る。
復讐を果たした後、ミルマーナを含む世界の危機を救うため、以後もアーク達と行動を共にする。
気性は烈しく、もと王女という立場ながらヤグンへの復讐には誰にも頼ろうとせず、アーク達に対しても当初は取引を持ちかける形で同行することとなった。
メンバーの中では精神的余裕のあるイーガやポコと付き合いやすいようである。

アークザラッド2のストーリー

ストーリーを教えてもらうスレでの詳細版

1.炎の少年

その村には、炎の精霊がいた。そのために、ロマリアの襲撃を受けた。
ロマリアの兵士は、村人を殺し、炎の精霊を奪う。
生き残った、まだ幼い少年が、抵抗しようとして、生まれながらにして持っている炎の力を解き放った。
辺りの物が燃え盛る。だが、抵抗も空しく少年は兵士によって連れて行かれてしまった。
「やめろ!!離してくれ!」
がばっと起き上がる。また昔の夢を見てしまった。彼はエルク。
炎使いと呼ばれている、ちょっとは名の通ったハンターだ。

エルクは外に出て、ハンターズギルドに向かう。ここは、アルディア国のプロディアスという町。
夜中だというのに、臨時の仕事があるという。
アルディア空港でテロ騒ぎが起きているので、それを鎮圧してほしいとのことだ。
早速空港に向かう。犯人が女性を人質に取って立て篭もっている。
エルクの活躍で、人質を助けることが出来たが、犯人は着陸している飛行船内に逃げ込んでしまった。
犯人を追って飛行船内へ。暗闇の中で、何者かの気配がする。
目を凝らすと、白いライオンのようなモンスターがこちらを睨んでいる。
「ダメよ、パンディット!」
女の子の声がした。パンディットというこのモンスターは、女の子の声を聞いておとなしくなった。
「あなた、私を捜しているんじゃないのね?お願い、私をここから逃がして!」
リーザと名乗る女の子はそう言った。そのとき、犯人がやってきた。
犯人はモンスターを呼び出してエルクたちに襲い掛かる。リーザと協力し、犯人を倒した。
「助けてくれ、奴らは、失敗を許さない・・・殺される!!」
犯人は背後から攻撃されて絶命する。犯人の背後に、黒服の男が立っていた。
こいつがリーザを捜している奴らしい。リーザは前に進み出て言う。
「私、そっちに行きます。だって、このままじゃ二人とも・・・」
前にもこんなことがあった。
女の子と一緒に施設から脱出しようとして、捕まりそうになった。
「お願いエルク、あなただけでも逃げて。このままじゃ二人とも・・・」
ハッと我に返る。
「俺を見損なうんじゃないぜ!」
エルクはリーザの手を取って逃げた。だが、リーザは途中で黒服の男に撃たれてしまった。
それでもなんとか逃げおおせた。
エルクは、インディゴスという町の、あるアパートの一室にリーザを運び込む。
そこは、昔エルクが世話になったシュウという男の部屋だった。シュウにしばらく置いてくれないかと頼む。
「空港の一件、やはりお前か?」
シュウに聞かれて、エルクは昨夜のことを説明した。
シュウは、リーザをハンター御用達の闇医者に診せるといいと言う。
闇医者は廃墟の町に行ったというので、廃墟の町に行く。医者を見つけるが、男に襲われていた。
「ちょっと待った!そのオヤジに用があるんだ」
男はモンスターに変貌し、エルクに襲い掛かってきたが倒す。医者は驚いている。
「人間をモンスターに変えちまうなんて・・・」
男はどこかで改造を施されたせいで、ああなってしまったらしい。
エルクは医者をインディゴスに連れて行き、リーザを診せる。医者は治療をして帰っていった。
リーザは目を覚まし、昨日のことを話す。
「私、誘拐されて、どこかの研究施設へ送られる途中だったの。
そこには、様々な特別な力を持った子供が沢山いるって言ってたわ。でも、逃げ出して・・・」
リーザにはモンスターと話す能力があるのだ。
「そうだったのか。・・・特別な力を持った子供を集める施設か。
無くしちまった、俺の記憶とも関係あるかも知れない」
エルクは生まれ持った炎の力のため、施設に送られたらしいのだが、
その頃の記憶が無く、何も思い出せないのだった。
そして五年前、砂漠で倒れているところを、シュウに助けられたのだった。

2.蒼き女神

エルクは、また故郷の村が襲われる夢を見た。
「エルク!大丈夫?うなされてたわよ」
リーザに起こされた。
「ああ、何でもない。いつもの夢だ。それより、仕事をして稼がなきゃな。
このままずっと世話になりっぱなしって訳にもいかないし」
リーザはパンディットと共にエルクについていくことになった。
ハンターズギルドに行って、モンスター退治の仕事を受ける。
現場に行ってモンスターを倒すが、無限に涌いてきて切りがない。
「この中にモンスターを操ってるやつがいるはずだ。探せ!」
声と共に、警官隊がやってきた。どうやら、リーザを探しているらしい。
エルクたちは路地裏に逃げたが、このままでは見つかってしまう。
「こっちへ、早く!」
ドアの一つが開いた。エルクたちはそのドアに飛び込んだ。
そこは酒場だった。エルクたちを助けてくれたのは、青いドレスに身を包んだ女性だった。
「あたしは、シャンテ。ここで歌ってるから、もしよかったら見に来て」
警官隊はもう行ってしまったようだ。酒場から出て、シュウのアパートに帰った。
次の日からは、シュウもパーティーに加わり、三人でギルドの仕事をこなすことに。
そして、夜。エルクたちは酒場に行ったが、シャンテはいなかった。
マスターから伝言を聞くと、閉店後に来てくれ、ということなので、閉店後に再び酒場に向かう。
それは罠だった。暗がりから出てきたのは怪しい男。
「俺はモンスターの力をこの身に宿した、新しき人類の一人」
そう言う男に、エルクはピンと来たらしい。
「新しき人類?リーザを狙っているのはお前たちだな?シャンテはどこにいる」
「女は我々が預かっている。ボスたちが、お前たちを大層気に入ってな。
どうだ、俺たちの仲間になる気はないか」
「お前のように、化け物になってまで力を手に入れたいとは思わない」
交渉決裂。男と戦って倒す。
「女を返してほしければ、プロディアスの女神の広場に行くことだ。そのときが、お前の最期だ!」
そう言って男は死んだ。

プロディアスに着いたエルクたち。
「ここが俺のアパートだ。近くに小型の飛行船も隠してあるんだ」
エルクは皆を自分の住んでいるアパートへと案内した。そして、飛行船のところへ。
町の西の丘の上に、ヒエンと呼ばれる飛行船が停めてある。そして、これからどうするのか考える。
「女神の広場って言ってたよな。女神像はもうすぐ完成する頃だと思うけど」
広場には人がたくさん集まっていた。完成した女神像の前で、記念式典の最中だった。
偉そうなおっさん・・・ガルアーノというらしいが、そいつが壇上で演説している。
「お集まりの皆さん、この美しい女神像、ロマリアからの友好の証として我がアルディアに贈られたものです。
アルディアの未来は、ロマリアの協力なしにはあり得ない」
エルクたちが広場にやってきたのを見て、ガルアーノはほくそえむ。
「それでは、その美しい姿をお目にかけましょう!」
ガルアーノの言葉と同時に、女神像から光が放たれる。
「何だ、この光は!体の力が抜けていく・・・」
辺りの人々は気絶してしまう。エルクたちも気絶しそうになったが、
そのとき、上空に飛行船がやってきた。飛行船から雷が飛んできて、女神像に落ちた。
乗っている人が魔法でも使ったのだろう。女神像は粉々になった。
気絶から立ち直った人々は完全にパニック状態になっている。
「アークだ!アークが現れたぞ!」
あの飛行船はアーク一味が乗っている、シルバーノアだったのだ。
「あの飛行船、覚えている。俺の、俺の村を襲った・・・」
それはあのとき。エルクの故郷を襲った軍人たちは、炎の精霊をあの飛行船に連れ去った・・・。
「間違いねぇ。あの飛行船に俺の村は・・・許せねぇ!」
エルクは突然走り出し、広場を出て行った。後を追うシュウとリーザ。

エルクは丘の上のヒエンの元に行き、乗り込んで発進させようとする。シュウたちも慌てて乗り込む。
「どうしたんだ、エルク!」
「あの飛行船は俺の村を襲い、みんなを・・・奴らは、この俺が始末する!そいつらが『賞金首アーク』の一味なら、
なお都合がいいぜ」
ヒエンでシルバーノアを追う。だが、シルバーノア程の大型飛行船に、小型飛行船が追いつけるはずはない。
ヒエンはスピードを上げ過ぎて、エンジンから火が出てしまう。そして、墜落した。

3.波音の彼方

施設にいた頃のエルク。親友のジーンという男の子と遊んでいる。
「なぁ、エルク、お前、ミリルのことが好きなんだろ?隠したって俺には解るんだよ」
ジーンが突然そんなことを言うのでエルクは焦る。
「で、好きって言ったのかよ?」
「言えないよ、そんな事・・・」
「しょうがねぇなぁ・・・おーい、ミリル!」
煮え切らない態度のエルクを見て、ジーンがミリルを呼んだ。
「どうしたの?二人でこそこそして」
「実は、エルクがさ・・・」
「やめろよ、ジーン!」
エルクはジーンの頭を小突く。ミリルは笑った。
「おかしな二人ね。ふふふ」

エルクは目を覚まして起き上がる。今のは夢・・・いや、失った記憶か。
「気がついたのね。よかった」
墜落したエルクたちを助けてくれたのは、白衣を着た老人だという。
見回してみて、シュウがいないことに気がついたエルク。
「ところでシュウは・・・シュウはどうした?」
「それが・・・私が気がついたときには二人だけで・・・」
言いにくそうに言うリーザ。
とりあえず、二人だけで辺りを散策してみることに。ここはヤゴス島のユドの村というところだ。
そして、さっきまでエルクが寝ていたのは研究所のようだった。
一通り回った後に研究所に戻ると、作業所にヒエンがあった。それを整備してくれているのが、
白衣を着た老人、ヴィルマー博士だ。
「勘違いするなよ。別にお前たちのためにやってるんじゃないわい。まだお前たちを信用したわけではないからの」
博士はそんな事を言う。そのとき、助手の男が飛び込んできた。
博士の孫娘のリアが、遺跡に行ったまま帰って来ないという。エルクたちは様子を見に行くことになった。

封印の遺跡。そこはモンスターが出そうな嫌な空気が漂っている。
降りて行くと、女の子の叫び声が聞こえてきた。駆け寄ってみると、リアがモンスターに囲まれている。
と、壁に埋め込まれたロボットからビームが出て、モンスターを焼き払った。
リアを助けて、研究所に戻る。ヴィルマー博士とリアは抱き合った。
「リア!無事でよかった。わしは、あんたたちの事を誤解しとったようじゃ。すまなかった」
エルクたちに謝る博士。
「私ね、おじいちゃんが見つけたロボットに助けてもらったんだよ」
リアがそう言うのを聞いて博士は驚く。
「あのロボットが動いていたというのか?まだまだ謎が多いのう」
博士は、ヒエンを修理する代わりに、もう一度遺跡に行ってロボットを持ってきてほしいと言った。
もちろん引き受けない手はない。
その夜。エルクはまた夢を見た。
謎の黒服の男たちに、施設に連れてこられたときのこと。
「これから、お前はここで暮らすんだ。まあ、せいぜい研究の役に立ってくれよ」
黒服の男たちは去っていった。男の子と女の子が歩み寄ってきた。ジーンとミリルだ。
「何だ、新入りか?」
「ジーンったら、偉そうに!あなた、名前は?」
「・・・エルク」
「いい名前ね。私はミリル。この子はジーンよ。仲良くしましょうね」
「ここは、どこなんだ。何でここにいるんだ?あ、頭が・・・」
突然頭を抱えるエルク。そんなエルクを見てジーンが言う。
「こいつ、まだ薬が残ってるな。ここに来る子は薬を与えられるんだ。そのせいで、昔のことはみんな忘れる」
「でも、大丈夫。記憶なんてなくてもみんな楽しく暮らしているわ。さあ、こっちにいらっしゃい」
エルクはミリルたちについて歩いていく・・・。

翌日。再び封印の遺跡に入るエルクたち。地下二階の、ロボットが埋まっている壁に着いた。
壁からロボットを掘り出そうとするが、壁が固くてびくともしない。武器で切りつけてみても無理だ。
そのとき、ロボットが喋りだした。
「我ノ眠リヲ妨ゲルノハ誰ゾ?我、七勇者ノ護衛ヲ務メシ機神団ノ長『ヂークベック』」
ヂークベックは片言に、自分を助けたければさらに深層にある「パワーユニット」を取って来い、と言う。

遺跡の最深部に来た。突然、モンスターの形の石像が喋りだした。
「我々は、機神の封印を守る者なり」
「俺たちは、その機神の『ヂークベック』を目覚めさせる為にここに来た!」
「汝ら、その最強の機神を使い、何をするつもりだ?
かの機神を再び目覚めさせる事はこの我々が許さん!かの機神はこの地で永遠に眠り続けるのだ!!」
封印を守る者は耳を貸そうとしない。
「おねがいです、ヂークベックを動かす為にパワーユニットが必要なんです!」
「ほう、封印されし20のパーツ、パワーユニットを知っているとは・・・。
機神の秘密を知っている以上、汝らをこのまま見過ごすわけにはいかん!
グロルガルデ様の命により、汝らの命、貰い受ける」
石像と戦闘になるが、勝つ。奥の壁に埋まっていた、白いパーツを取り出す。これがパワーユニットだ。
ヂークベックが埋まっているところに戻ると、パワーユニットは勝手にヂークベックに吸い込まれていった。
ヂークベックは壁から抜け出た。
「少年よ、ワレとトモに・・・」
二、三歩歩いたかと思うと、ヂークベックは蒸気を吹き上げて動かなくなってしまった。
かなり重いが、なんとか担いで研究所まで運ぶ。

ヴィルマー博士はヂークベックを見て感心している。
「約束通り、飛行船は直してやろう。明日には飛び立てるはずじゃ。今日はもう休んでおくことじゃ」
エルクたちは研究所の二階で休んだ。その夜、エルクはまた夢を見た。
「私たち、実験材料だったのよ。このままじゃ、エルクも、ジーンも、みんなモンスターにされちゃう・・・」
ミリルは悲しそうな顔をしている。
「ミリル、逃げよう。ここを出て助けを呼ぶんだ!・・・誰か来る。あっちだ!」
ミリルの手を取って施設を逃げ出そうとするエルク。
真夜中に目を覚ましたエルクは研究所を抜け出して、海岸へ行った。それに気付き、後を追うリーザ。
「どうしたの、眠れないの?」
エルクは答えない。
「ねぇエルク、私の生まれた村の話、聞いてくれる?」
リーザは話し出す。その村はホルンという名前だった。だが、人々は魔女の村と呼んでいる。
村に生まれた女性は、特別な力を持っているという。動物と話せる力。
強い力を持つ女性は、モンスターとも話せるという。リーザにも、その強い力がある。
「何で、俺に話してくれたんだ?」
「貴方を、信じていいと思ったから。モンスターと話が出来ることを知った後でも、
エルクは、私を守ってくれたから」
「・・・プロディアスに来た飛行船は、俺の村を襲ったのと同じだった。
だから、どうしても奴を捕まえたかった。でも、そのせいでシュウは・・・。
俺は、いつも仲間を、信じてくれる仲間を犠牲にしてるんだ。ミリルだって・・・」
エルクがそう言うのを聞いて、リーザは驚く。
「もしかして、記憶が戻ったの?」
「ああ。俺が、仲間を犠牲にしてきた記憶がな」
エルクは、故郷を村を襲った軍人たちに、「白い家」という施設に連れて行かれた。
そこには、特別な力を持った子供たちが集められていた。
何不自由ない生活。だが、日が経つ毎に仲間が減っていく事に気付く。
「ある日、俺たちは見たんだ。仲間だった子供が、実験機器の中でモンスターに変えられていく姿を。
怖くなった俺は、ミリルと一緒に逃げ出した。でも、すぐにバレて、森の中で追い詰められたんだ」
森の中を必死で走るエルクとミリル。ミリルは転んでしまう。
「私はもうだめ・・・。エルク、貴方だけでも逃げて。このままじゃ二人とも捕まっちゃう」
「でも・・・俺は・・・」
エルクはためらっている。追っ手がすぐそこまで迫ってきている。
「早く!私が奴らの注意をひくわ」
「ミリル・・・かならず、必ず助けに行く!」
「エルク、私、待ってるから」
エルクはミリルを置き去りにして、一人で逃げた。
「エルク、大丈夫!その女の子は、貴方が助けに来てくれるのを今でも待ってるわ!
シュウだってきっと生きている。それなのに、貴方が挫けてどうするの!そんなの、エルクらしくない」
リーザは落ち込んでいるエルクを励ますように言った。
「ああ、そうだな。ミリルも、シュウも俺が絶対に助ける。絶対に!!」

エルクとリーザが研究所に帰ってきてみると、研究所の中は荒らされていた。
「博士とリアちゃんが心配だわ!」
作業室からリアの声が聞こえてくる。エルクたちは作業室に飛び込んだ。
「おじいちゃんをいじめないで!!」
博士は黒服の男たちに囲まれていた。リーザを捜してる奴と同じ格好。
「捜しましたよ、博士。我々と一緒に来てください」
だが博士は嫌がっている。エルクたちは黒服の男たちと戦って倒す。
「じいさん、何故あんたが、奴らに狙われるんだ?」
エルクが問い詰めると、博士は話し出した。
「奴らは、キメラ研究所の連中じゃ。わしは、そこの研究員だったんじゃ」
キメラ研究所とは、人造のモンスターを生み出す研究をしている、ロマリアの特別な機関だ。
研究は成功し、人造モンスターは兵器として使われ、世界を混乱に巻き込んでいった。
そして、研究は次の段階へと進んだ。モンスターと人間を組み合わせて、より強力なモンスターを造ろうとした。
その過程で、特別な能力を持った子供を発見し、「白い家」に集めていた。
集められた子供たちは、様々な実験をさせられた後、最終的にはモンスターとして改造される。
「奴らのやっている事は、人間のすることじゃない。
わしは、孫のリアのためにも、キメラ研究所を逃げ出すことにしたんじゃ」
エルクとリーザは驚く。
「そこだ!俺は昔、そこにいたんだ」
「じゃあ、私の村を襲ったのも・・・?」
エルクは博士に、白い家の場所を聞くが、博士はアルディアにあるというだけで詳しい場所は知らないという。
知っているのは、ロマリア四将軍の一人、ガルアーノという男が、キメラ研究所を仕切っているということだ。
ガルアーノは今、アルディアにいて、マフィアを操っているらしい。

翌日、エルクたちは博士の改造によってパワーアップしたヒエンに乗り込んだ。
「お前さんの運んできたロボットじゃが、その内動くようにするから、後で取りに来て欲しいんじゃ」
「そりゃ構わないけど、どうして?」
「わしは、決めたんじゃ。奴らを倒す発明品を作って、お前たちを助ける・・・
それが、わしにとっての奴らとの戦いなんじゃ」
博士とリアの見送りを受け、ヒエンは飛び立った。

4.再会

アルディアに戻ってきたエルクとリーザ。インディゴスの、シュウのアパートに行ってみる。だが、やはりシュウはいない。
その夜、何者かが部屋に忍び込んできた。
「エルク、驚かさないでよ」
それはシャンテだった。
「大丈夫なんですか?人質にされたんじゃ・・・?」
「人質?冗談じゃないわ。あの後、身を隠していたの。あんたたちを狙ってたのはマフィアだったのよ」
「知ってるさ。ところで、何で戻って来たんだ?」
「あんたたちと連絡を取ろうと思ってね。私、これから仕事なのよ。明日の朝、酒場に来て」
シャンテは帰っていった。腑に落ちない様子のエルク。

翌朝、エルクたちは酒場に行った。
「改めて、久しぶりね。元気そうで何よりだわ」
シャンテが話し掛けてきた。
「まだ隠れていた方が良かったんじゃないのか?」
「そういかない訳があるの。弟がいるの。私にとってたった一人の、血の繋がった人間。
その弟が、面倒な事に巻き込まれちゃってね。私の為にやばい仕事に手を出してね・・・。
それより、昨日の夜の続きを聞かせてよ。何でマフィアの事をあんたが知ってるのか」
「あんたが大変な目に遭ってる間にこっちでは色々とあってね。リーザを狙っている奴らに、
俺も大きな貸しがある事が判った。もう他人事じゃないんだ。シャンテ、ガルアーノに会う方法を教えてくれ。頼む!」
危険だからと、止めようとしたシャンテだが、エルクが必死に頼むのを見て根負けしたようだ。
「わかったわ。何とかしてあげる。ちょっと時間がかかると思うから、明日、また酒場に来て頂戴」
シュウのアパートに戻ったエルクたち。深夜、何者かの気配がする。
「リーザ!起きろ!」
窓ガラスを破って男が飛び込んできた。男の右腕は刀のようだった。
「くっくっく。切り裂いてやるよ!」
男は刀と化した右腕を振って襲い掛かってきたが、何とか倒す。
「くそっ、やりやがったな。覚えてやがれ!」
男は窓から去っていった。
「奴もキメラ研究所で作られたモンスターなのか・・・」

翌朝、エルクたちは再び酒場に行く。
「昨日、ここら辺に切り裂き魔が現れたそうね」
そう言うシャンテを、エルクは疑いの眼差しで見る。
「どうしてその事を知ってるんだ?」
シャンテは慌てて取り繕うように言った。
「い、いいじゃない、そんな事。それより、ガルアーノの件だけど、場所は判ったわ。
でも・・・決して歓迎されないわよ」
「構わねぇさ!で、どうすればいいんだ?」
「町の外れに、奴らのアジトがあるの。私がそこまで案内するわ」
シャンテに連れられて、町の外れへ。そこには大きな屋敷が建っている。当然、入り口には見張りもいる。
「私に任せて」
シャンテは一人で見張りの前に進み出ると、何か話している。すると、見張りは引っ込んだ。
屋敷の奥に進んでいく。
「ガルアーノの部屋はこの先よ・・・ダメ、鍵が掛かってるわ」
シャンテをその場に残し、エルクたちは鍵を探すことに。
鍵を入手して戻ってくると、シャンテの姿が見当たらない。エルクは鍵を使って中に入った。

部屋に入ると、そこには黒服の男たちと、昨夜シュウのアパートに来た怪しい男がいた。
男は親しげな口調でエルクに話し掛ける。
「やっと来たか、エルク。随分待ちわびたぜ」
エルクは首を傾げる。
「貴様に会う為にここまで来たわけじゃねぇさ」
「つれねぇセリフだな。おい、俺を忘れちまったのか?俺だよ、ジーンだよ」
エルクの脳裏に思い出が蘇る。
「ジーン、お前、ミリルにまた何か言っただろう!?」
ジーンに怒っているエルク。
「俺なりの優しさだったのにな・・・」
「そういうのを、余計なお世話って言うんだよ」
「お前、あのジーン・・・なのか?」
「まぁな。やっと思い出してくれたか。・・・逃げ出したお前が手に入れられなかったこの力、
思い知るがいい!!昔のよしみだ、楽に殺してやる」
ジーンが襲い掛かってきた。エルクは嫌々ながらジーンを倒す。
ジーンは頭を抱えて苦しみだした。
「ぐっ!ば、馬鹿な!俺が負ける・・・?あ、頭が痛い!」
「ジーン、しっかりしろ、ジーン!」
「エルク、みんな、あそこで待ってたんだぜ。みんな次々に改造されて・・・。
ミリルだけは、俺みたいな目に遭わせるんじゃないぞ・・・」
ジーンは息を引き取った。
そこへ、ガルアーノがやってきた。
「ジーンがやられるとはな。お前を『白い家』から逃がしたのがつくづく残念だ。
ご苦労だったな、シャンテ」
ガルアーノの隣にシャンテが立った。
「シャンテ!俺たちを裏切ったのか?」
「シャンテは誰も裏切ってなどおらんよ。何故なら彼女は、私がお前たちに近付けたのだからな」
「ごめんなさい、エルク、リーザ。でも、仕方がなかったの」
そのとき、壁が爆発した。出来た穴からシュウが出てきた。
「やめるんだ、エルク。シャンテはこいつらに利用されているだけだ。弟を人質に取られて・・・。
マフィアとリーザ、そしてシャンテの弟は、『白い家』で繋がっている」
シュウは生きていた。身を隠していろいろと調べていたらしい。
「それで、私の弟は?何処にいるの?」
シャンテがそう言うのを聞いてガルアーノは笑う。
「君の弟は、我々の改造で折角強くなったというのに、アルディア空港で、
馬鹿なハンターのせいで殺されてしまったのだよ」
「いやーっ!!」
取り乱すシャンテ。自分が殺してしまったなんて・・・と、エルクの心に後悔と怒りが湧き上がる。
「許せん、お前だけは許せん!それが人間のする事か!!ふざけやがって!!」
シュウを加えて三人で、ガルアーノとモンスターたちを倒す。
「ガルアーノ、ここまでだな。さあ、『白い家』の場所を教えてもらおうか?」
「ふふふ、お前ら、まだ私がガルアーノ様だと思っているのか?」
そいつはガルアーノの影武者だった。影武者は裏口から逃走した。
そこへ、警官隊が突入してきた。
「アジト内に残っている奴らは、一人残らずひっ捕らえろ!」
警官隊が去っていったあと、残されたエルクたち。エルクはシャンテに頭を下げる。
「知らなかったとはいえ、俺がお前の弟を殺してしまったのは事実だ。俺を殺したいなら殺せばいい。
だが、仲間を助けるまで待って欲しい」
「エルク・・・。私に貴方を責める事は出来ないわ。弟の為に他人を犠牲にした私が。
私は弟の敵を討ちたいの。お願い、一緒に戦わせて」

5.白い家

インディゴスの酒場に戻ってきたエルクたち。
「結局、ガルアーノの野郎には逃げられちまった。だが、やつらの行き先は一つしかない」
「『白い家』・・・ね」
シュウは、「白い家」はサルバ砂漠というところにあるらしいという情報を掴んだという。
とにかく、サルバ砂漠へ行ってみることになった。
ヒエンに乗り込み、砂漠の近くで降りて、砂漠を進んでいく。
「あそこだ、あそこを抜ければ、森に出るはずだ!」
砂漠を抜け、森に入る。この森は、「帰らずの森」と呼ばれていて、
一度足を踏み入れると二度と外へは出られないという噂らしい。
迷路のような森を抜け、やっと「白い家」にたどり着いた。だが、見張りがいて近付けそうにない。
エルクは何かを思い出したらしく、裏手に回り、そこにあるマンホールを開けた。
「俺とミリルが脱出するときに使った、地下水道さ」
エルクたちは地下水道を通り、「白い家」の内部に侵入した。
とある部屋に入る。そこは、エルクとミリルが、子供がモンスターに変えられている所を目撃した研究室だった。
「サンプルMの準備が完了しました」
研究員が冷たく言う。サンプルMとは・・・ミリルだった。装置に入れられていたミリルを助け出す。
「エルク?エルクなのね?やっぱり、来てくれたのね。必ず来てくれるって、信じてたの」
ミリルの案内で、他の子供たちがいる、公園に来た。だが、子供たちの様子が変だ。
「諸君、残念だがそこまでだ。よく戻ってきてくれたな、エルク。はっはっはっ!」
ガルアーノの声が聞こえてきた。
「何処だ、ガルアーノ!!何が可笑しい!」
「こういう事だよ。やれ」
子供たちの姿はモンスターに豹変する。エルクたちはモンスターを倒した。
「あんな子供たちまで・・・どこまでも汚い奴だな!!」
「最高の褒め言葉だな。しかし、さすがはエルクだ。その炎の力、欲しくなったぞ!」
エルクとミリルは、床に開いた穴に落されてしまった。

落ちた先は、暗い地下室だった。出口はないらしい。上にも上れない。
「エルク、貴方は甘いわ。貴方は、私を見捨てて逃げたのよ!私は貴方を待っていたの。
私を見捨てた貴方に復讐するために!」
ミリルは水の力を発動させて、エルクに襲い掛かってきた。
防戦一方で、何も出来ないエルク。しばらくすると、突然、ミリルの動きが止まった。
「私には出来ない。エルクを殺すなんて・・・助けて!!」
ミリルは苦しんでいる。エルクはミリルを抱きかかえる。
「エルク、私、自由になりたい」
「大丈夫さ、すぐに自由になれる」
突然、サイレンが鳴り出す。
「侵入者あり!侵入者はアーク!」
白い家が揺れだした。どういう事かと思案するエルク。
そのとき、ミリルが叫んだ。
「エルク、逃げて!!」
何の事か解らないエルクは逃げることなど出来なかった。
一瞬の後、ミリルの身体は粉々に吹き飛んだ。深い傷を負ったエルクは気絶してしまう。
「バーングラウンド!」
地下室に光が差し込んだ。上から降りてくるリーザやシュウ。そして、赤い鉢巻の男・・・アーク。
リーザたちは傷ついたエルクを見て絶句した。
「まだ息はある。だが、このままでは・・・」
シュウはエルクが死んではいないことを確かめる。
揺れがひどくなってきた。このままでは建物が崩壊してしまう。
シルバーノアは高度を下げてきた。シュウはエルクを担ぎ上げる。
「時間がない、さあ、乗り込むんだ、急げ!」
アークはシュウたちに、シルバーノアに乗り込むよう指示する。

6.微笑みの聖母

シルバーノアに運び込まれ、寝かされたエルク。側にリーザが付き添っている。
「エルク・・・貴方に死なれたら私・・・」
そこへ頭にターバンを巻いた男、チョンガラがやってきた。
「だいじょうぶじゃ。ククルならきっと助けてくれる。ククルは、ワシらの仲間の聖なる力を持つ少女じゃ」
リーザたちは、チョンガラから、アークたちが何故賞金首として狙われているのかを聞いた。
(詳しくはアークザラッドのページ参照)
エルクを助けることにも協力してくれたし、悪人ではない事が解った。
アークは勇者の力、ククルは聖母の力を授かり、アークはシルバーノアで飛び回って
人々を導く使命、ククルはスメリアのトウヴィルという村に残って、闇の力を封じる使命があるそうだ。
シルバーノアに乗っているのは、ロマリアから借りたのを返さずにそのまま使っているからだった。
「ワシらは嵌められたんじゃ。アンデルにな」
アンデルはガルアーノと一緒に、「白い家」にいたらしい。だから、アークたちは「白い家」を襲撃した。
だが、襲撃は失敗に終わったようだ。ガルアーノもアンデルも逃げおおせたに違いない。
「奴らをこのままにはしておけん。何処に行ったか判るか?」
「うーむ。恐らく、ロマリアだろう。キメラ研究所の本部もあそこにあるからな」

シルバーノアは、トウヴィルに着いた。そこの神殿の中にエルクは運び込まれる。
ククルにエルクを診せる。ククルは癒しの術をかけた。
「これで、何とか、命だけは取り留めることが出来ました。
でも、生きてるって事と死なないって事は必ずしも同じ事ではないの。解る?
身体の傷は癒せても、心が生きることを諦めてしまっては、生きている事にはならない」
ククルはそんなことを言う。エルクの心は、生きる事を諦めてしまっている・・・。
エルクはここに置いておいて、リーザが付き添うことになった。
「どうして、彼はあんな大変な状態になったの?」
シュウはククルに、これまでのことを説明する。
「シュウ、貴方がたが相手にしようとしているのは、そんなちっぽけなものじゃない。
これは、この世界の将来を賭けた戦いなの。だから今は・・・」
ククルはシュウを止めようとする。
「俺は俺なりに動くだけだ!」
シュウはどうしても行くという。シャンテもシュウに着いて行くという。
「解りました。貴方がたをパレンシアにお送りしましょう。さあ、目を閉じて」

気が付くと、シュウとシャンテはパレンシアの町の中に立っていた。
スメリアの首都だけあって大きな町だ。ロマリアに行く方法を探すべく、情報収集を始める。
今、パレンシア港にロマリアの戦艦が泊まっているとの事だ。
治安が悪そうな裏通りに行って話を聞くと、酒場に行くといいとのことなので、早速酒場に行く。
酒場にいる自称「何でも屋」の男から話を聞く。
「ロマリアの戦艦に乗り込みたい?そりゃまた大きな仕事だな」
だが何でも屋は引き受けてくれた。
何でも屋の手引きで戦艦内に侵入する。
倉庫内にしばらく身を隠すシュウたち。やがて戦艦は離陸した。
ロマリア本国に着くまで隠れていようと思ったが、見つかってしまった。
着陸する前に、格納庫に行って戦闘機を奪って逃げよう、ということに。
格納庫に行ってみて驚く。なんとヒエンが積まれていた。
ヒエンに乗り込むシュウ。エンジンを作動させ、発進しようとする。
シャンテもヒエンに乗り込もうとしたが、兵士がシャンテの足を掴んだ。
必死で振りほどこうともがく。兵士が足を離したとき、シャンテはバランスを崩し、
戦艦から転がり出て海へと落ちて行った。
「ここで、作戦を止めるわけにはいかん。シャンテ・・・済まん」
シュウはヒエンを発進させた。

7.孤独な英雄

「あ、目が覚めたの?」
シャンテは宿屋のベッドで目を覚ます。傍らには少女がいる。
「貴女は?ここは何処?」
「私、エレナ。ここはクレニア島だよ。お姉ちゃんは海岸に流れついてたんだよ。お父さんが運んできたの」
シャンテは起き上がって部屋から出ようとするが、エレナはあらぬ方向を見ている。
「そう言えば、その杖・・・貴女、目が見えないんじゃ?」
「うん、でも音で判るから平気だよ」
シャンテは下に降りて、宿屋の主人に、エレナの父親のことを聞く。
「グルガなら、きっと『鍛錬の岩場』で訓練していると思うよ」

シャンテが鍛錬の岩場に行ってみると、グルガらしき男がモンスターに囲まれていた。
グルガと協力してモンスターを倒す。
「貴方がグルガね。流石、強いわ」
「もう大丈夫なようだな。で、何の用だ?」
「助けてもらったお礼をね。それに、お願いもあって。私、ロマリアに行きたいの」
「武闘大会の間はこの島から出る船はない」
武闘大会は明後日まで続くらしい。グルガは武闘大会の優勝候補なのだそうだ。
「勝たなきゃならんのだ、エレナの為にも。あの子の本当の両親を亡くしたのも、目が見えなくなったのも、
私のせいなのだ。あの子の目が見えないのをいいことに、父親だと偽っている」

宿屋に戻ったシャンテは、主人から話を聞く。
グルガの祖国ブラキアは、以前ニーデルに支配されていた。でも、五年前やっと独立出来た。
エレナは独立戦争に巻き込まれて両親と視力を失った。独立戦争で先頭に立って戦っていたグルガは、
自分で全て背負い込んでいるらしい。
「あんた、いい人みたいだし、あいつの力になってやってくれないか」

翌日。武闘大会の最終トーナメントの初日だ。シャンテはグルガが出る試合を応援するため、控え室へ。
余裕で勝ち抜き、グルガは控え室に戻ってきた。
「優勝候補と言われるだけあって、流石に強いわね。でも、どうしてそんなに勝ちたがっているの?」
「私は罪滅ぼしの為にエレナを育てている。優勝したら、賞金であの子の目を治せるという医者に診せるつもりだ」
だが、目が治ったらグルガが父親ではないことがバレてしまう・・・。
次の日。ついに決勝戦だ。シャンテはまた控え室に行った。
危ない場面もあったが、グルガの逆転優勝で大会の幕は閉じた。
「やったわね、おめでとう」
「ああ、これでエレナを医者に診せられる」
「今さら何なんだけど、貴方、本当にそれでいいの?」
「血の繋がらない私たちでは、所詮、本当の家族にはなれないんだ」
二人は宿屋へ帰った。入り口に宿屋の主人が倒れている。
「黒ずくめの男が来て、いきなりエレナちゃんを・・・」
部屋は荒らされていた。手紙が置かれていたので読む。
「可愛い娘の命が惜しくば『無人の館』へ来られたし」

シャンテとグルガは無人の館へ行った。そこには黒服の男が待っていた。
「貴様ら何者だ?何が目的でエレナを攫った?」
「目的はお前よ。その並外れた戦闘能力を我が研究所で利用してやろうという訳だ」
黒服の男がそう言うのでシャンテは驚く。
「キメラ研究所!私はこいつらに弟を殺されたの。それでこいつらのボスを追ってロマリアに行く所なの」
「それなら話は早い。ここでまとめて片を付けてやる」
黒服の男はモンスターに姿を変えて襲い掛かってくるが、倒す。
奥の部屋にはエレナがいた。無事なようだ。エレナを宿屋に連れ帰った。

翌日。シャンテが目を覚ますと、グルガが居ない。外にいるそうだ。
外に佇んでいるグルガに声をかける。
「グルガ、あんたもう・・・」
グルガは宿屋の主人に賞金を渡し、エレナの事を全て頼んだそうだ。
エレナを医者に診せ、残りの金はエレナの生活費に充てる。一生困らないほどの金額だ。
「あんたは、これからどうするの?」
「新しい目的は出来た。お前と一緒さ・・・。キメラ研究所を叩き潰す!
なんの罪もない子供を実験材料に使う奴らを放ってはおけない」
「解ったわ。エレナちゃんにお別れは言わないでいいのね?」
「無論だ」
「じゃあ、行きましょう」

8.残された勇気

トウヴィルに残り、エルクの看病を続けるリーザ。
「エルク、貴方がこのままじゃ・・・私・・・」
「そうやって、いつまでも誰かに頼って生きていこうというの?
貴女にも、やらなくてはならない事はある筈」
ククルがそう言うので、リーザはハッとする。昔の事を思い出した。
平和なホルンの村にやって来たロマリアの戦艦。兵士たちはリーザの家の中に入る。
リーザを見て兵士は言う。
「おおー、これはすごい。この少女の能力は使えますよ」
「よし、ではその娘を『白い家』に移送する」
兵士は止めようとするリーザの祖父を足蹴にし、リーザを引きずるように連れて行った。
「エルクは、今も自分の罪の意識と必死に戦っているの。貴女も、助けてもらえるまで
ただ待つんじゃなくて、自分の弱さと向かい合わなければ」
ククルの言葉に、リーザは旅立つ決意を固める。
「一人で出かけるのも辛いじゃろう。ワシの召喚獣を連れて行かんか?」
チョンガラが壺の中から出したモンスターを数匹借りることにする。
泊まっているシルバーノアの所に向かう。そこには、シルバーノアの乗組員、
チョピンが待っていた。
「ククル様から、お望みの場所にお送りするように言われております。
出発なさいますか、リーザ様」
「ええ。私の生まれた場所、フォーレス国のホルンへ」

フォーレス港に着き、一人で街道を歩いていくと、男の子がモンスターに囲まれている場面に出くわした。
リーザは能力を使い、モンスターを追い払った。
「お姉ちゃん、ありがとう。モンスターが言う事を聞くなんて・・・。
お姉ちゃんはホルンの人なの?」
「そうよ。ほら、ここにいつまでもいると危ないわよ」
リッツと名乗った男の子は手を振って、ラムールの町まで帰っていった。

ホルンまで行く吊り橋の前には巨大な岩があって通れない。仕方なくラムールの町へ行く。
ラムールの町に入ると突然、警官隊に囲まれてしまうリーザ。
「ホルンの村から来た怪しい娘め、我々と一緒に来てもらおう!」
リーザは牢屋に入れられてしまった。
「エルクと出会えて、人を、優しさを信じかけていたのに・・・」
「もう諦めてしまうんかのぅ」
隣の牢屋から、老人と思しき声が聞こえてきた。
「わしは、ゴーゲン。それはそれは、偉い魔法使いじゃ」
彼は賞金首アーク一行の一人だ。
足音が近づいてくる。リッツが鍵を持ってやって来て、リーザとゴーゲンを牢屋から出してくれた。
「フォッフォッフォ、『勇気ある行動は人の心を開く』じゃな」
リッツはリーザに着いて行くと言ったが、危険な目には遭わせられないと、置いて行くことにする。
リーザとゴーゲンはこっそり逃げ、ラムールの町を出た。
リーザは吊り橋の前の岩をゴーゲンに見せる。
「よし、わしに任せるんじゃ。行くぞい!エクスプロージョン!」
ゴーゲンが呪文を唱えると、岩は粉々に砕けた。
ホルンに入る。やけに静かだ。それもそのはず、村には人が一人もいない。
リーザの生家にも、祖父はいなかった。
「あのときのままなのね・・・」
懐かしさに、子供の頃のことを思い出すリーザ。
「ねえ、おじいちゃん、私、どうして村から出ちゃいけないの?」
「この村に生まれる女には何故か、不思議な力が宿る。それで、酷い目に遭わされた事があるんだよ。
・・・魔女狩りということでな」
「そんな!おなじ人間じゃない!どうして・・・」
「リーザ、人間というものはな、決してお互いの事など信じられない、弱くて、恐ろしい生き物なんだ。
だから、気をゆるしてはいけないんだよ」
気が付くと、黒服の男が立っていた。
「村の人たちを何処へ連れて行ったの?」
「研究所だよ、この山の奥のな」

リーザとゴーゲンは研究所に向かう。そこへ、リッツがやってきた。
「リッツ!付いて来ちゃダメだって言ったじゃない」
ここに置いて行くわけにもいかないので、リッツを連れて行くことにする。
研究所内に入り、襲い掛かってきたモンスターを倒し、村人を救出する。
どうやら、全員無事のようだ。
「お、おじいじゃん!」
「リーザ・・・」
祖父との感動の再会にリッツが割り込んできた。
「お姉ちゃん、オレ、ラムールの町の人たちに伝えておくよ。ホルンには魔女なんていない、って」
「ほっほっ、頼もしい味方が出来たじゃないか。人間も捨てたもんじゃなろう、リーザ」
ゴーゲンが笑った。
「・・・はい。リッツ、ありがとう」
「さて、わしはそろそろ行くとするかの。この研究所は支部に過ぎん。本部を潰さん限り、
悲劇がまた起こる」
ゴーゲンは出て行こうとする。
「待ってください。私も行きます、ゴーゲンさん」
「ゴーゲンさん、孫をよろしく頼みます」
ゴーゲンは空間に次元の扉を開く。リーザとゴーゲンはその中に入って行った。

9.焔立つ

エルクは真っ暗な場所に立っていた。エルクを呼ぶ声がする。
「可哀相に、疲れてしまったんだねぇ」
死んだはずの、エルクの母親だった。
「生きるのなんて、辛い事ばかりだ。こっちへおいで」
父親。
「ようっ、エルク。解っているさ。お前は俺たちを殺した痛みを背負っていける程タフじゃない。
生きるのなんかやめちまえ。楽になるぜ」
ジーン。
「エルク、待っていたわ。ここで、一緒に暮らしましょ。ここはいいわよ、静かで」
ミリル。
「ちくしょう・・・俺は死んじまった方がいいってのか・・・?」
絶望に打ちひしがれるエルク。そのとき、光がさっと刺し込み、彼らの表情は変わる。
「エルク、貴方は間違ってなんかいないわ」
「死んだ人は、そうなる運命を背負って生まれてきたのよ」
「そして、生き続ける者も」
「俺は感謝してるさ。最後に人として死ねて」
「私たちは大丈夫。貴方は真っ直ぐ前を見て」
「じゃあ、私たちは行くわ」
「待ってくれ、みんな!」
エルクの伸ばした手は空を掴む。皆の姿は消えていった。
「負けないで、死んで行った人たちの為にも。生き抜いて、私の為に・・・」
「う、うーん・・・。俺は一体?」
エルクは長い夢から醒めた。起き上がって、奥の部屋に行くと、ククルがいた。
「気が付きましたね、エルク。私はククル。貴方は、深い傷を受けてこのトウヴィルに運ばれて来たのです」
「そうだ、ミリルが俺の腕の中で・・・なんて事を・・・」
「その事については、私も伺いました。でも、今の貴方なら、既に為すべきことは解っていますね。
アークとその仲間たちが・・・」
アークの名前を聞くとエルクの表情は変わる。
「傷付いた貴方をここに運ばせたのは、他でもないアークなのよ。エルク、貴方は勘違いしている」
エルクは賞金首の事など信用出来ないと言う。それに、生まれた村を襲った飛行船と同じものに乗っている。
「何故、貴方の村が襲われたか解っているの?・・・パレンシア城に向かうのです。
そこで貴方の知りたい事への答えが見つかります。町へは私が送りましょう」

パレンシア城へ送られたエルク。だがそこは城址が残っているだけだった。
突然、物音とともに何かが転がってきた。それは太った少年だった。
「いてててて。もー、嫌んなっちゃうなあ」
間抜けな声をたてて起き上がる。
「誰だ?お前」
「僕は、お尋ね者なんだ。しかも、すごい賞金が懸かってる」
彼は、アークの仲間のポコだ。
「冗談じゃない、まだ俺は・・・」
「僕は、探し物をしに、城址の地下に行くんだけど、やっぱり一人じゃ心細くて。
でも、二人なら安心だね。さ、行こう!」
すっかりポコのペースに巻き込まれているエルク。とりあえず、ポコについて行くことにした。
城址の地下にある、バイオ研究所跡に着いた。
「えーっと、この辺りが怪しいと思うんだけどなぁ」
ポコは辺りを探し回っている。エルクがカプセルの前を通りかかると、
突然、それは光り出し、炎の精霊が姿を現した。
”よくぞ来てくれた。我が力を受け継ぎし者よ。我は、炎の精霊。この世界に、
生きる者たち全てに、炎の恵みを与える者。しかし、邪悪なる者により我は連れ去られ、
力を奪われてしまった。エルクよ、お前は、炎を受け継ぎしピュルカの民の、最後の一人”
「邪悪なる者ってのは、誰なんだ?」
”ロマリア国の大臣、アンデル。しかし、その背後には、この世界を魔の世界に貶めんとする力がある。
エルクよ、今こそ勇者アークを助け、世界を守るのだ”
「それじゃ、俺の村を襲った奴はアークと関係ないってのか?」
”アークは我を邪悪なる者の手から解放し、その志を示したのだ。
そして地・水・火・風・光の五大精霊より認められ、勇者の力を与えられたのだ”
「じゃあ、俺は今まで・・・」
”そしてエルクよ、この国、スメリアの精霊を守り続けてきたトウヴィルの民に危険が迫っている。
急がねばならんぞ。エルクよ、過去に縛られて、その力を間違った方向に向けてはならぬぞ。
それが我の望み、死んで行ったピュルカの民の願いだ”
エルクの心は決まった。
ポコが隠された通路を見つけ出した。その通路はパレンシアタワーへと続く通路だ。
パレンシアタワーにトウヴィルの人々が捕まっていて、もうすぐ処刑されるのだという。

エルクとポコはパレンシアタワーに入る。
ポコがドジを踏んだりしていろいろと紆余曲折があったが、トウヴィルの住民を逃がす事に成功する。
突然、目の前に次元の扉が開き、男が現れた。
「初めまして・・・かな、炎使い」
「てめえがアンデルか?ちょっと遅かったようだな。村人はもう逃がしたぜ。
「くっくっくっ、別に構いませんよ。そんな些細な事で、優位に立ったとでも思っているのですか」
余裕綽綽のアンデル。
「くっ・・・!アンデル、俺と勝負しろ!」
「こんな所で油を売っていていいのですか?貴方の仲間は、
今頃キメラ研究所で皆殺しにされているかも知れないというのに。
・・・では、機会があったらまた会いましょう。勇者の子分殿」
アンデルはまた次元の扉を使って逃げてしまった。

住民をトウヴィルに送り届ける。
「本当によくやってくれましたね」
エルクにねぎらいの言葉を掛けるククル。
「俺はあそこに行って一つだけ判ったことがある。俺は今まで自分の過去に引きずられて生きてきた。
しかし、問題なのは過去なんかじゃなかった。これから俺自身がどうするかという事なんだ。
もうミリルやピュルカの民のような犠牲者を出すわけにはいかない。だから、奴らと戦う。
・・・ククル、俺はすぐにでも、キメラ研究所の本部に行きたいんだ。リーザたちが危ない」
エルクとポコはシルバーノアに乗り込んだ。

10.名も無き十字軍

ヒエンに乗り、ロマリアの側の「クズ鉄の町」へとたどり着いたシュウ。
ロマリアに行くための情報を集める。
ロマリアの周囲には堅固な壁が巡らせてある。
入るには、列車に乗るのが良いらしい。空から行こうとすれば撃ち落されるとのことだ。
また、酒場で呑んでいる赤い髪の男に会うように勧められた。
早速、シュウは酒場に行ってみる。言われた通り、赤い髪の男がいる。
アークの仲間の一人、トッシュだ。
「お前、最近いろいろと嗅ぎ回っているそうじゃねぇか。ロマリアに忍び込む?
ま、馬鹿な話はやめる事だな」
シュウの言う事を鼻で笑うトッシュ。
「馬鹿な話じゃない!俺は本気で言ってるんだ!・・・俺は、ガルアーノという奴を追って、
ここまで来たんだ。『白い家』という研究所から逃げ延びている筈だ。
何としても奴を仕留めたい!」
「ガルアーノはロマリアの四将軍の一人だ。簡単に倒せる相手じゃねぇぞ」
「だからと言って、逃げる訳にはいかん!」
シュウが必死に言うので、トッシュも考えを改めたようだ。
「仲間に会わせてやる。こっちだ、付いて来な」
トッシュは秘密のスイッチを押して、隠し通路を開いた。

隠し通路の先は、レジスタンスのアジトだった。
レジスタンスの情報では、ガルアーノは今、ロマリア本国内のキメラ研究所にいるとのことだ。
ガルアーノを倒しに行くなら、どうにかして列車を奪ってそれで侵入するのが良いということになった。
シュウとトッシュ、そしてレジスタンスに入りたての少年、ダニーと三人で、
列車の下見に行く事になった。
こっそりと列車に近付くが、ロマリア兵に見つかってしまった。シュウたちはダニーを逃がし、
ロマリア兵を倒す。
だが、それは罠だった。レジスタンスのアジトへと戻るダニーを、兵士は尾行していた。
アジトにいたメンバーは全員やられてしまった。ダニーは大怪我を負ったが、何とか一命を取り留めた。
「二人きりになっちまったな。まぁ、一人になるよりは、ましってとこか」
そう言うトッシュに、シュウは答える。
「俺は、いつも一人だった。親の顔も知らず、友と呼べる仲間も無く、ずっと一人で生きてきた。
ダニーを見ていると、そんな自分を思い出してしまう。あの頃のエルクもそうだった。
だから彼らには、俺のような、辛い思いはさせたくない・・・」
「俺も親の顔を知らねぇんだ。オヤジに拾われなきゃ、こうして生きている事もなかっただろう。
そのオヤジが、俺に教えてくれたぜ。『この世界には、こんな俺たちにしか守れない者が、大勢いいる。
そいつを守っていく為に、お前は生きろ』ってな」
「・・・俺は、不器用な人間だ。やられたら、やり返す、そんな事しか出来ん。だが、
たとえ一人でもやり遂げてみせる」
「お前一人じゃねぇぜ、シュウ。俺がいれば百人力だ」

二人だけになってしまったレジスタンス。作戦を練り直す。二人ではさすがに列車を乗っ取るのは
難しいので、列車を爆破して騒ぎを起こし、その隙にロマリアに入る、という作戦に。
トッシュが陽動して、兵士を引き付けている間に、シュウが列車に爆弾を仕掛ける。
列車は爆発して横転。二人はロマリアに入った。
「報告します!イーガを捕まえたという賞金稼ぎが面会を求めています!」
キメラ研究所内にいる、ガルアーノのところへ引きずられてきたイーガという男。
アークの仲間の一人である。
「イーガか、面白い。こいつを牢にぶち込んでおけ」
ガルアーノは賞金稼ぎの男に目を向ける。
「お前、なかなかの腕だな。私の下で働いてみないか」
男はうなずく。

キメラ研究所に侵入するシュウとトッシュ。
時を同じくして、リーザとゴーゲン、シャンテとグルガ、エルクとポコもキメラ研究所に入った。
そして、イーガも、捕まっていた牢屋を抜け出す。総勢九名が顔を合わせた。
「『炎使い』エルク!」
「リーザ・・・です・・・」
「ハンター・・・シュウ」
「『歌姫』シャンテよ」
「ブラキア戦士、グルガ!」
「パレンシア兵士、ポコ!」
「モンジ一家のトッシュたぁ、俺の事だ」
「大魔導士、ゴーゲンじゃ」
「ラマダ僧、イーガ」
自己紹介と挨拶を済ませ、先に進んで行き、ガルアーノがいるであろう部屋にたどり着く。
ガルアーノと賞金稼ぎの男が待っていた。エルクたちは罠にかかり、拘束されてしまう。
だが賞金稼ぎの男は素早く動き、エルクたちの戒めを解く。
驚くガルアーノの前で、男はマントを取る。それはアークだった。
「おしまいだ、ガルアーノ。お前も、この研究所もな」
「既に『殉教者計画』は始まっている。他の将軍たちは動き出しているのだ。この研究所を潰されたところで、我々を止めることなど出来ん」
ガルアーノはモンスターに変貌する。
「どうだ?アーク。これが、最も強く、最も美しい、究極のキメラだ。
私は、人々に、この強く美しい姿を与える、神の仕事を代行していたのだ!」

ガルアーノを倒した後。
「終わったな」
「まだだ、まだ終わっちゃいない。アーク、あんたのやってる事が正しいのかどうか、今の俺には判らねえ。
が、ロマリアのやり方だけは、許せねえ!二度とミリルやジーンのような犠牲者は出させねえ!」
そう言うエルクに、アークは答える。
「エルク、今はその気持ちを大切にするんだ。その気持ちが奴らを倒す力となる。
君たちもまた、精霊の力によって導かれた仲間なのだから」
シルバーノアが泊めてある空港に向かう。
「大変じゃ、グレイシーヌが大ピンチなんじゃ、とにかく、シルバーノアに戻れ!」
チョンガラが慌てた様子でやってきた。一行はシルバーノアの作戦室に集合する。
「ミルマーナがグレイシーヌに侵攻したんじゃ!」
「まずいな・・・グレイシーヌは、イーガのふるさとなんだよ」
ミルマーナをけしかけているのは、ロマリア四将軍の一人、ヤグンという男らしい。
「パレンシアで手に入れた情報なんじゃが、『殉教者計画』というのを実行しているらしい」
殉教者計画というのは、世界中の各地に「殉教者の塔」を造り、何かを復活させようという計画なのだそうだ。
シルバーノアはグレイシーヌに向け飛び立った。

11.影に潜む

グレイシーヌに着いた一行。急いでラマダ寺に行く。
大僧正と会って話をする。
「イーガ師範、お待ちしておりました」
イーガは師範と呼ばれて僧たちから敬われている。
「ミルマーナの様子は?」
「隣国を攻め落とし、こちらに向かっております。時間の余裕はありません」
「わが国の国王はどうなさっておるのだ」
噂をすれば影。グレイシーヌの王、リュウゲン国王がラマダ寺にやって来た。
「今日は頼みたい事があってきたのだ。・・・グレイシーヌは降伏する事にした」
リュウゲンの発言に驚くイーガ。
「そこでイーガ殿、貴殿に頼みがある。このラマダ寺を解散して欲しいのだ。
ヤグン将軍から降伏の条件として、ラマダ寺の解散と、僧兵の引渡しを命じられておるのだ」
「リュウゲン殿は我々を見捨てると仰るのか?」
「ミルマーナには列車砲がある。あんな物を使われたらこの国はひとたまりもない。
イーガ殿、分かってくれ」
「・・・少しお時間を頂きたい」
そう言ってイーガは部屋を出て行った。

表の方で僧兵が騒いでいる。
「こら、大人しく待っていろ!」
僧兵の制止も聞かず、女性がイーガたちの方へやってきた。
「貴方たちが悪名高きアーク一味ね。私はサニア。占い師よ。
いい情報があるの。その代わり、一つ条件があるの。この寺にある『大経典』を見せてもらいたいの」
それを聞いてイーガは眉をひそめる。
「駄目だ。経典を読む事が出来るのは、ラマダの奥義を極めた者のみ」
「でも、貴方ならその奥義を会得し、経典を読む事ができるはずよ」
「駄目だ!技の封印を解くわけにはいかん!・・・サニア殿、何故経典を読みたいのか教えてくれぬか?」
「大経典にはラマダの全てが書かれていると聞くわ。モンスターと化して貴方たちに倒された、
前大僧正の秘密もね。私は、両親を殺したモンスターを探しているの。
なんとしても、そのモンスターの手掛かりを掴みたいのよ」
サニアの熱心さにイーガの心が動く。
「強い心を持っているな・・・。分かった。まずは大経典を取りにいく。一緒に来てくれ。
お前の情報が必要なのだ」
ペイサスという大きな町に行く。王立だという大きな図書館が有名な町だ。
その図書館内に大経典が保管してあるという。図書館に入ると、職員が慌しく走り回っている。
「イーガさん!大変です!大経典が盗まれました!」
今ならそう遠くには逃げられないはず、と、早速犯人を探すことに。
「私が大経典の場所を占ってあげる。・・・見えたわ。スキンヘッドの男が持ってる」
サニアの占い通りに、ペイサス中を駆け回ってスキンヘッドの男を探し、アリバイを確認する。
だが、全員白だった。犯人は既に町の外に逃げたらしい。
犯人を追って町の外へ。そこでは、モンスターと犯人が話していた。
犯人はモンスターに経典を渡すと、モンスターに殺されてしまった。
「よくここを嗅ぎ付けたな。この経典はお前たちの手に渡す訳にはいかんのだ、アーク。
お前らが生きていると、ヤグン様が迷惑するのだよ」
ヤグンの名前を聞いて、サニアの顔が強張る。
モンスターを倒して大経典を取り返した後、イーガはサニアに尋ねる。
「ヤグンを知っているのか?」
「貴方たちには関係ないわ!」
サニアは怒ったように後ろを向いた。

大経典の封印を解くために、ラマダ山に入る。
イーガはラマダ山にいる地の精霊を呼び出す。
「地の精霊殿、経典の封印を解いて頂きたい。私が奥義を会得します!」
”奥義『ラマダ真拳』は、その協力さ故、封印されておる。お前はその技を使おうと言うのか!”
「私には今、守らねばならない国がある。守らねばならない仲間たちがいる。
そのためにどうしても奥義が必要なのです!」
”イーガよ、アークと共に旅立ち、少しは成長したようだの。さあ、封印されし奥義と経典を受け取るが良い!”
地の精霊は大経典の封印を解き、イーガに奥義を与えた。
”イーガよ、お前はラマダの全てを得たのだ。これからお前が、このラマダを受け継ぐのだぞ”
イーガは大経典を読み、サニアに聞かせた。
「サニア、経典によれば、大僧正はヤグンの命を受けてこのラマダに来たようだ」
「ヤグン。私から祖国を奪った張本人・・・。アーク、ミルマーナ軍はペイサスの南にある国境付近にいるわ」
行ってみると、サニアの情報通りに、ミルマーナ軍が駐留している。
「ここを叩けば、一時的にだが、グレイシーヌへの攻撃を食い止めることが出来るだろう」
駐留しているミルマーナ軍と戦闘になる。時々、遠くから列車砲の砲撃が飛んでくる。
だが、アークたちだけではなく、ミルマーナ軍の兵士にも当ってしまっている。戦いの後、アークは呟く。
「ヤグンめ、味方も犠牲にするとは・・・」
「ヤグン・・・やはりあいつの仕業なのね・・・」
ヤグンの名前を聞いて、サニアが取り乱す。
「サニア、ヤグンとの間に何があったんだ?」
「私が生まれたミルマーナは、静かで豊かな国だった。その私の国をヤグンが踏みにじったのよ!
モンスターに両親を殺されて、一人生き残った私は、国を追われて、ひたすら身を隠して生きてきたわ。
ただ、復讐の事だけを考えて生きてきた・・・」
「焦ることはない、いつか必ず機会は来る。我が祖国を救ってくれたのだ。今度は私がお前を助けよう」
イーガはサニアに言った。

12.凍れる瞳

図書館に集まったアークたち。サニアが占いをしている。
「二つの国から奇妙な力を感じるわ。ブラキアとフォーレス・・・押さえ付けられるような力よ」
「それが『殉教者の塔』と関係があるのか」
「ええ、多分ね」
「ロマリアにはまだ、アンデル、ヤグン、ザルバドの三人の将軍が残っている。これから先は奴らも
本気で向かってくるだろう。今以上に苦しい戦いになる」
「覚悟の上だ。いくらでも相手になってやるぜ」

ここでヤゴス島へ行ってみよう(実はもっと早い段階でも可)。
「おお、やっと来たな。例のロボットの修理が終わったんじゃ」
研究所の作業室にはあのヂークベックと名乗ったロボットがいる。
「おっ、これがあのポンコツか?」
「きゃっ、かわいい!」
「おマエラ、ワシを、ばかニシトるンカ!」
いきなりヂークベックは喋りだした。やはり片言でしか喋れないらしい。
「ハナシハハカセカラキイてル。キョウかラナカマニなッチャル。アリガタクおモヘ」

サニアの占いに出た国の一つ、フォーレスへとシルバーノアを発進させる。
空港へ降り立ち、早速ホルンの村へ。そこで待っていたのはモンスターだった。
人々は姿を消し、家は崩壊している。
「遅かったじゃねぇか、リーザとその一味さんよ」
「お前か、リーザの村をこんなにしたのは!」
エルクはモンスターを睨んだが、モンスターは笑った。
「勘違いしてくれるぜ。この村を襲ったのは、ラムールの人間なんだがなぁ」
モンスターを倒して、ラムールに向かう。
ラムールは異様な空気に包まれていた。
「災いをもたらす村に死を・・・」
「ホルンは悪魔の村だ・・・」
町の人々はそんな事を呟いていた。とても正気とは思えない。
リーザたちは、町の人々が変な行動を起こさないように見張ることにして、その夜は宿屋に泊まることに。
夜になると、遠くから鐘の音が聞こえてくる。それを聞いた町の人々は、一斉にどこかへ歩いて行く。
その先はギーア寺院だ。リーザたちも人々に続いて寺院の中に入ろうとしたが、シスターに止められた。
「貴方がたはここで、暗黒の神、ギーア様の裁きを受けるのです!!」
シスターたちはモンスターに変貌して襲い掛かって来たので、倒す。
寺院の中に入ってみると、人々が大聖堂に集まっていた。教皇が説教している。
「聞け!偉大なる神ギーアの僕(しもべ)たちよ!悪魔の村ホルンは滅んだ!
我らはギーア様の使いとなり、悪魔を滅ぼすために立ち上がらん!」
これは説教ではなく、洗脳だ。先へ進んで行くと、隠し部屋を発見。そこにはリーザの祖父がいた。
「おじいちゃん!しっかりして!」
「・・・リーザか?この寺院は危険だ、一刻も早く逃げるんじゃ」
「村の人たちは?」
「もう遅いかも知れん。みんな殺されとるじゃろう」
教皇たちは、寺院の最上階にある鐘を使い、ラムールの人々を洗脳しているとのことだ。
最上階を目指す。長い階段を上り最上階に着いた。頭上には鐘がある。教皇が待っていた。
「お前らがヤグン将軍を邪魔をしているという勇者どもだな。これ以上、この神聖な寺院を汚すことは許さん!」
「ロマリアの手先が何を言う!」
「人の心につけ込むようなやり方は成功せぬぞ!」
教皇はそれには答えず、シスターに命令を下す。シスターは町の人々を数人連れてきた。
その中にはリッツもいた。教皇はリッツにナイフを握らせる。
「その娘はホルンの魔女だ。魔女を殺せ!」
頭上の鐘が鳴る。教皇に命じられた通り、リッツはリーザに近付き、ナイフをふりあげる。
「やめてリッツ!負けないで、自分を思い出して!」
「お姉ちゃん・・・」
リッツの手からナイフが落ちる。
「馬鹿な、洗脳が解けたというのか!この出来そこないが!死ね!」
教皇はリーザ共々、リッツを殺そうと襲い掛かってきた。
そこにリーザの祖父が飛び出てきて、リッツとリーザの前に出て、代わりに攻撃を受けた。
「うぬ、もう勘弁ならぬ!」
イーガはエネルギー弾を飛ばして鐘を攻撃し、壊す。
「いい加減、観念したらどうなの!計画は失敗したのよ!貴方だけは絶対に許さない!」
モンスターへと変貌した教皇とシスターを倒す。
「おじいちゃん・・・なんでこんな事に・・・」
「そんな顔をするな、リーザ。強く生きるんじゃぞ」
リーザの祖父は息を引き取る。突然、寺院は揺れだした。
「お、おい、崩れ出したぜ!早く洗脳されている人たちを助けて脱出するぞ!」
寺院は崩れ去った。
数日後、ホルンの村。村の人々によって復興が始まっていた。
「この村は、きっと元通りになるわ。外の町の人たちとだって、上手くやっていけるようになる。
私も、もっともっと勇気をだして、もっともっと強くなってみせるから。だから、おじいじゃん・・・」
祖父の墓の前に佇むリーザ。リッツがやってきた。
「お姉ちゃん!みんなでホルンの村を直すんだ!オレも、お姉ちゃんの村を直すよ」
「みんな、分かってくれたようじゃのう」
「勇気ある行動は、人の心を開く・・・。そうでしょう?」
そう言うリーザに、ゴーゲンは微笑みで答えた。
こうしてフォーレスの殉教者計画は阻止された。

13.真実の在処

次にシルバーノアが向かったのは、グルガの故郷であるブラキアだ。
空港に着陸し、近くのグーズという町に入る。町はロマリア兵に占領されていた。
ロマリア兵を追い払って、ある家の中に入る。
「グルガ!よく戻ってきてくれた」
それはブラキア国王ジンバだった。どうやら首都から逃げてきたらしい。
「一体どうしたのだ、ジンバ」
「レイガルが、再びここへ戻ってきたんだ」
レイガルというのは、かつてニーデル国に所属し、ブラキアを支配していた男だ。
だが、今、レイガルはロマリアに所属し、またブラキアを支配しているという。
「レイガルの奴はモンスターの力まで使っている。私もこの通りだ。もう、どうする事もできない」
「分かった。この私が直接レイガルに会ってくる」
悔しがるジンバにグルガは答えた。

レイガルがいるという領主の館へと向かう。
「久しぶりだな、グルガ」
「レイガル、やはり死んではいなかったのか」
レイガルは独立戦争のとき、重傷を負ったが、そのときロマリアに助けられ、
モンスターになる改造手術を受けたという。
「私はお前に復讐するために戻って来たのだ。・・・実はお前に会わせたい人間がいるのだ。こちらに来てもらおう」
レイガルに付いていくと、そこにはエレナがいた。
「エ、エレナ!」
「その声はお父さん!・・・違う、私が覚えているお父さんと!」
エレナはグルガを見ると表情を変えた。もう目が見えているらしい。
「エレナ、言ったろう。あいつはお前の父親なんかじゃないんだ。
奴は、父親に成りすましてずっとお前を騙していたんだ」
「そんな・・・」
「エレナ、騙されるな!そいつは・・・」
「見苦しいぞ、グルガ。さあおいで、エレナ」
レイガルはさらにグルガを打ちのめすようなことを言う。エレナの本当の父は自分だと。
グルガの故郷、ルワガの村に行く。落胆したグルガは自室にこもってしまった。
他のメンバーとジンバを加え、作戦会議。
「レイガルは、バンザ山を噴火させ、邪魔な我々を村ごと潰す気だ。
奴らは、バンザ山の頂上で何かを建設している。それが完成すれば、この村はおしまいだ」
バンザ山とは、この国にある活火山だ。
「きっとそれが洗脳装置だな」
「グルガを何とかしなきゃ!」
シャンテが任せてくれ、と言うので、シャンテを一人でグルガの元に行かせる。
「エレナ・・・」
グルガはエレナの名を呟いている。
「何をしているのグルガ!貴方はこのままでいいの?エレナを助けに行かないの?」
「しかし、レイガルはエレナの実の父親だと・・・」
シャンテはグルガの頬を打つ。
「しっかりしなさい!貴方もエレナの父親なのよ。何があろうとも、エレナの誤解だけは解かなきゃ!
それに、貴方が命をかけて守ろうとしたこの国が、駄目になってしまうのよ」
「・・・行こう、シャンテ。レイガルを止めに、そして、エレナに会いに」

バンザ山の中に入り、頂上へ行く。レイガルとエレナが待っていた。
「フフフ、やっとここまでたどり着いたか。待ちくたびれたぞ、グルガ」
「この火山から手を引け!」
「あの機械が何だか判るか?」
レイガルが指差したそれは、洗脳装置だった。
「いずれ世界中にこの機械が設置される。これでこの国はおろか、全世界をロマリアの支配下に置くのだ!!」
「レイガル、こんな事はもうやめろ!頼む、これ以上エレナを悲しませないでくれ」
グルガはそんな事を言うが、もちろんレイガルは聞かない。怒りのあまり、レイガルに襲い掛かろうとするグルガ。
「エレナの前で私が殺せるのか?」
レイガルにそう言われて躊躇するグルガ。その隙に、レイガルがグルガを攻撃する。
グルガは火口から溶岩の中に落ちそうになる。
「さらばだグルガ。溶岩に落ちて死ぬがいい」
そのとき、エレナがグルガに駆け寄って、落ちそうになっているグルガを引っ張り上げようとする。
「余計な事をしおって!そんなにグルガがいいのなら、一緒に地獄へ送ってやるわ!」
エレナを蹴るレイガル。
「ご、ごめんなさい、もう駄目・・・」
エレナとグルガは火口へと落ちていった。
「ふん、ブラキアの勇者もあっけないもんだな」
「実の父親が娘を殺すなんて・・・」
「この世は力が全てなのだよ。今の私には親も子も関係ない!」
「なるほど、モンスターには親も子もないな。堕ちる所まで堕ちたな、レイガル」
レイガルが振り返ると、そこにはグルガとエレナがいた。どうやら、助かったらしい。
「エレナを利用した罪、死をもって償え!下がっていろ、エレナ!」
モンスター化したレイガルを倒し、グルガたちはバンザ山を下りて来た。
「エレナ、よくお聞き。私はお前の、本当の父親ではない。
そして、お前の両親を奪った戦いを起こしたのは私なのだ。今まで嘘をついていて済まなかった。
だが、お前を思う気持ちに嘘はない。それだけは分かって欲しい」
グルガはそう言ったが、エレナは何も言わない。
「エレナ、本当のお父さんはもういないの。だけど、貴女の事を心から思っている人がいる事を忘れてはだめよ」
シャンテが言った。エレナは突然走り出し、グルガの胸に飛び込んだ。
「お父さんなら、もういるもん!」
こうしてブラキアの殉教者計画は阻止された。

14.奪還

シルバーノアに戻ったアークたち。ミルマーナの海の上から謎の電波が出ているのを発見したと、
チョンガラが報告する。
さっそくミルマーナ国へ行く。アジャールの町に入って、酒場へ行く。
「そ、そのお顔は、サニア様ですね!生きていらっしゃったのですね」
サニアの顔を見て男が声をかける。
「あなたは、ロアンね!よく無事で・・・」
二人は知り合いらしい。
「国王が亡くなられてからというもの、この国はヤグンの思うままに操られています。
緑に恵まれて静かだったミルマーナも、荒んでいくばかりです」
「トヨーケの森は?精霊の木はどうなったの?」
「トヨーケの森も、とうとう封鎖されてしまい、精霊の木の力も弱まってきているようです。
ヤグンにしてみれば、この国の未来など、どうなろうと関係ないのです。そればかりか、
ヤグンは、ミルマーナの東の海上に巨大な海底油田を建設中です。あの油田には、
どうやら別に大きな目的が隠されているようなんです」
サニアが言うには、精霊の木がなくなれば、ミルマーナは滅んでしまうとのこと。
とにかく海底油田が怪しいので、シルバーノアに乗り込み、海底油田の方へ行ってみる。
すると、列車砲の弾が飛んできて、シルバーノアは激しく揺れた。
「一旦退却して体勢を立て直そう!ミルマーナに向かってくれ。
回り道になるが、まずミルマーナの列車砲を叩く!」
アークはチョピンに指示を出した。

アジャールの町に戻って、ロアンから情報収集する。
列車砲は、列車の上に砲台が設置されている物だ。
現在、ニエンの森に設置されていて、「グラウノルン(破滅の女神)」と呼ばれているとのこと。
列車砲は魔法によって守られており、直接攻撃は利かないとのことだ。
破壊するには、列車に乗り込んで、中から破壊すればいいらしい。
「列車に侵入する・・・か。それなら出来ない事はないわ」
「しかし、危険すぎます!」
ロアンはそう言うが、サニアは諦めない。
「それでも、そこに望みがあるのなら、私はやる。ミルマーナは私の祖国、自分の手で取り戻してみせる!」
「案ずるな、サニアだけではない。我々も、サニアをむざむざ死なせたりはしない」
イーガはそう言ってロアンを説得した。ロアンはしぶしぶうなずいた。
ニエンの森に入る一行。
「グズグズしてないで、一気に突破するわよ!」
「力の入りすぎだ。少し心を落ち着けろ」
意気込んでいるサニアをイーガが制する。
「ほっほっほっ、イーガは、お嬢ちゃんのことを心配しておるんじゃよ」
納得しないサニアに、ゴーゲンが言う。
「・・・分かったわ。ありがとう」
サニアは肩の力を抜いた。
森の中を進んで、列車砲の手前までやって来た。思ったより大きいので息を飲む。
中に入ると言っても一体どこから?と皆が頭を悩ませていると、サニアが、上から攻めるのがいいと言った。
シルバーノアで行くと大きすぎて見つかる可能性が高いので、ヒエンで攻めよう、ということになった。
一旦森の外へ出て、ヒエンを持ってくる。メンバーを二つに分ける。
サニアとエルクたちはヒエンに乗り列車へ潜入する。そしてアークたちは、陽動する。
作戦通り、アークたちが陽動している隙に、ヒエンが列車砲に近付いていく。
撃たれてしまったが、その程度ではヒエンはびくともしない。どうやら、ヴィルマー博士が装甲を強化してくれていたようだ。
エルクたちは列車の天井に穴を開け、列車内部に侵入した。奥へと進んで行き、制御室へ辿り着いた。そこを守っている兵士たちを倒す。
「さっさと壊して戻ろうぜ」
エルクはそう言うが、サニアはなにやらコンソールを操作している。
「もう少し待って、もう少しだけ。・・・ヤグン、お前が生み出した『破滅の女神』の恐ろしさ、自ら味わうがいいわ!!」
砲弾はミルマーナ軍本部に向かって飛んでいき、見事に着弾した。
エルクとサニアたちは列車を破壊して、脱出した。

アジャールの酒場へと戻ったサニアたち。
「列車砲も軍本部も叩いたわ。これでミルマーナは自由を取り戻せるのよ」
ヤグンも、確かに軍本部と共に果てたようです。ですが、生き残りの兵士が海底油田に集結している
ようなのです。トヨーケの森も解放は去れましたが、精霊の木の力は弱まるばかりです」
ロアンはそう言う。まだ終わってはいないらしい。
トヨーケの森へと行ってみる。緑が豊かだった森は荒れ果てていて、サニアは愕然とする。
「そんな・・・!美しかった森がこんなことに」
「精霊の力もかなり弱くなってるな」
そのとき、サニアたちの前に恵みの精霊が現れた。
”アーク、よく来てくれました。貴方も、もう見たでしょう、この森の惨状を。
しかしこれは、この森に限ったことではありません。今、世界中の精霊の力が弱まりつつあります。
この森も私の力が弱まっている以上、そう長くは持たないでしょう”
「そんな!この森がなくなってしまったら、ミルマーナはどうなってしまうの?」
”ミルマーナ王の娘、サニアよ、先程も言いましたが、これはミルマーナだけの問題ではないのせす。
今、世界中の国が破滅の危機に晒されているのです。でも、残念なことに、人々はその事に気付いていないのです”
「恵みの精霊よ、ロマリアは一体この世界で何をしようとしているのですか?」
アークの問いに精霊は答える。
”彼らが望んでいるのは、世界の破滅・・・。そして、古の暗黒の力の復活です。
アークよ、急ぎなさい。残された時間は後わずかです。精霊の力を受け継ぎし勇者たちよ、
世界を救えるのは貴方たちだけなのです。私は、いつも貴方たちを見守っています。
貴方たちの進む道に世界の加護があらんことを・・・”
恵みの精霊は消えてしまった。悲嘆に暮れるサニア。しばらくして、立ち直って、言う。
「恵みの精霊は、残された時間はあとわずかだと言っていた。逆に考えれば、
まだ希望は残っているということ。恵みの精霊よ、私はその希望に全てを賭ける!
そして、ミルマーナを・・・いえ、この美しい世界を守ってみせる。それがミルマーナ王の娘である私の努め」
シルバーノアで海底油田へ。下へと降って行く。最深部に到達した。
「くっくっく。旧ミルマーナ王国の王女様か」
突然声が聞こえてきた。気色ばむサニア。
「旧ミルマーナ王国と言ったわね?」
「その通り。馬鹿な王が治めていたミルマーナはもう終わった。
これからは、このヤグンが統治する新ミルマーナ王国が始まるのだ」
「何処にいる、ヤグン!姿を見せなさい!」
「貴様の目は節穴か?私は、さっきからここにいるではないか、お前の目の前にな!」
サニアの目の前にいるもの。それはヤグンが飼っているという猿だった。
列車砲で撃たれて死んだ方は偽者だった。猿はたちまち大きくなって、モンスターになる。
「モンスターを率いて、父と母を殺した化け物・・・お前だったのね、ヤグン!
お前だけは絶対に生かしておけない!今まで犯した数々の罪、その命で償え!」
サニアたちは本物のヤグンを倒した。
「ま、負けるのか。この私がこんなガキ共に・・・」
ヤグンの身体は崩れて消え去った。跡には洗脳装置が残された。
「ちょっと離れておれ。・・・エクスプロージョン!」
ゴーゲンの魔法で洗脳装置は粉砕された。その衝撃で壁に穴が開き、水が入ってくる。
上に逃げようと思ったが、はるか上に泊まっているシルバーノアに着くまで、この建物は持たない。
下に潜水艦があるので、それを奪って逃げようということになった。
いそいで潜水艦に乗り込み、脱出しようとするところで、油田が崩壊し始める。

「ふう、ようやく終わったな」
サニアたちは海岸までなんとか辿り着いた。途中で潜水艦は壊れてしまったが。
「お父様、お母様、仇は取りました。どうか天国でお幸せに・・・」
サニアはそっと呟いた。
そして、アジャールの酒場へと戻る。
「これで、ようやくミルマーナも元の美しい国に戻るんですね」
ロアンは喜んでいる。
「大変なのはこれからよ」
「大丈夫です。サニア様もいらっしゃいます」
「ごめんなさい。私は今、この国に尽くす事が出来ない。王女サニアはもう死んだのよ。私はただの占い師。
・・・でも、いつか必ず戻ってくる。約束します。それまでミルマーナをお願い」
「分かりました、お預かりいたします」
酒場を出るサニアたち。イーガがサニアに話し掛ける。
「ミルマーナが気になるのなら、残ってもいいのだぞ」
「いいえ、余計な心配をしないで。これから、世界を救わなきゃならないんだから、
貴方たちだけに任せてられないわ。さあ、行くわよ!」
こうしてミルマーナの殉教者計画は阻止された。

15.古の守護者

シルバーノアの作戦室に集合した仲間たち。
アミーグとバルバラード、二つの国から電波をキャッチしたとチョンガラは言う。
まずはアミーグに向けて出発。空港に降り立ち、モレアという村に入る。
村外れに、「神の塔」と呼ばれるいかにも怪しげな塔が建っていた。
酒場に入り、神の塔について聞き込みをする。まず、神の塔に入るには長老の許可がいるとのことだ。
ゴメスという男に話を聞く。話の途中でゴメスに話し掛ける男。
「おい、ブラザー、この顔、見たことあるんだよ。アールだかアレクだかいう大泥棒一味さ!」
アントニオという、ゴメスの知り合いだ。
「分かったぜ、ブラザー。さては、大泥棒も、いよいよ神の塔のお宝に目を付けたね」
「いや、目的はお宝じゃない」
アークはそう否定したがゴメスとアントニオは聞いていない。勝手に話が進む。
「でもよ、ブラザー、ここんとこ妙な連中が塔に出入りして、何かしてるんだよな?」
「ありゃ、お宝狙いに決まってるよな」
「えっ?その連中はどういう感じだった?」
アークが身を乗り出すのを見て、ゴメスとアントニオはひそひそと何か相談している。
どうやら二人は、アークたちに協力してお宝の分け前を戴こうとしているらしい。
とにかく、長老の許可を貰おうと、長老の館へ向かう。
「長老に、すげえお客さんをお連れしたのさ。世界を荒らし回ってる大泥棒ご一行様よ」
ゴメスたちは門番にそう言った。またアークたちは泥棒ではないと否定するのだが、
門番も話を聞いていない。とにかく長老に会わせてくれることになった。
「ほうほう、よく来てくれたのう。早速歓迎させてもらおうかのう」
長老もゴメスたちのようにやけに気さくな人物のようだ。
「歓迎は結構。神の塔に登れるよう、許可を貰いたい」
「そうか、なかなかの命知らずなんじゃな。わしも若い頃は無茶ばかりしてのう」
長老は勝手に話し始めた。長い話を聞き終わり、やっと許可を貰った。

神の塔へ来た。遺跡のような雰囲気を漂わせている。
「コノ塔は・・・」
ヂークベックは、突然ボディを小刻みに震わせる。
「この塔は古の時代に造られたものだ。古の王は各地にこのような塔を造り、世界を監視していたのだ」
片言でしか話せなかったヂークベックが、いきなり流暢に話すので皆はびっくりしている。
「???ナニか、あったんカ?」
しばらくすると元に戻った。
アークたちは神の塔へ入った。
「お宝はオレ達のものだ!」
それより遅れて、ゴメスとアントニオも塔に入る。
アークたちは順調に進んで行く・・・かと思いきや、ゴメスとアントニオが勝手にスイッチを操作するので、度々妨害されてしまう。
「何よ、この塔は?機械のモンスターばかりじゃない」
「こいつらハ・・・」
またヂークベックが震える。
「こいつらは、古の時代、我が敵だった機神兵・・・。はるか古の時代、七勇者を抹殺する為に
造られた戦闘兵器。我は、我が敵の機神兵から七勇者を守る為に造られた。だが、宿敵グロルガルデとの戦いで
相打ちとなった」
しかしまた、しばらくするとヂークベックは元に戻る。ややこしい仕掛けを突破し、ようやく最上階へ。
「よくここまで辿り着いたな」
そこにはロボットが待っていた。ヂークベックがまた流暢に話す。
「お前はグロルガルデ!貴様は破壊されたはず。何故?」
「そうだ。お前と相打ちになり、七勇者に止めを刺すことができなかった。しかし、今度はそうはいかんぞ!」
「最悪最強の機神グロルガルデよ、貴様が向かって来るのなら、全力で叩き潰すのみ!」
ヂークベックたちはグロルガルデを倒す。
「最強の機神グロルガルデ、もう二度と復活する事はないだろう」
ヂークベックはアークに言う。
「勇者殿、我ら機神兵は主人の命に従う事しか出来ぬ。故に人間が望まぬ限り、グロルガルデのような
機神は生まれはしないのだ。その事だけは忘れないでくれ」
「ああ。憎むべきはこの純粋さを利用した奴らだ」
ヂークベックは元に戻った。塔が崩れてきたので、アークは急いで逃げ出した。
「見ろよ、奴ら逃げてくぜ!世界一の大泥棒もオレたちにはかなわなかったようだな」
アークたちを見て勝ったつもりでいるゴメスとアントニオだった。
こうしてアミーグの殉教者計画は阻止された。

16.砂の中の両雄

次にアークたちはバルバラードに向かった。ピラミッドが怪しいと近付いてみるが、砂嵐が激しくて近寄れない。
ムハドという町に行き、情報収集していると、ラタという男が話し掛けてきた。
ラタは、砂嵐を操っているという人物に会わせてやる、と言う。
ラタの案内で、砂漠に住んでいるというサリュ族の族長に会うことになった。彼が砂嵐を操っているらしい。
族長のテントに入る。
「俺のやり方が気に食わず、勝手に出て行ったお前が今さら何の用だ」
族長はラタの顔を見て眉をひそめる。
「今日は客人を連れてきました」
「ふん、どんな手を使おうと、俺の気は変わらん。我がサリュ族は、バルバラード王家に従属してでも
アリバーシャを倒すまで戦う。これは族長である俺が決断した事だ」
「これ以上の戦いは無意味です。はるばる海を越え、ようやく暮らせる土地を見つけたというのに・・・」
「それでもお前は男か!自分の部族をあのように無残に殺されて平気でいられるのか。
・・・今度は奴らに思い知らせてやる。バルバラード王の話では、あのピラミッドでは、
アリバーシャ攻撃の為の新兵器を開発しているらしい。それが完成するまで、あのビラミッドはこの俺が守る。
水の精霊を守っていた封印の力を使ってでもな」
ラタと族長の会話を聞いて、だいたい事情が判った。アークが横から口を挟む。
「貴方は騙されている!あのピラミッドにあるのは、ロマリアが世界を支配する為の洗脳兵器だ」
「ナム兄さんだって分かっているはずだ。我々は利用されているだけです。だから、この人たちにお願いして、
人質にとられている母上を・・・」
ラタは族長を兄と呼んだ。
「もういい!出て行け!弟と言えども今度は容赦しないぞ!」
ラタとアークたちはテントを追い出されてしまった。
ラタから詳しく事情を聞く。バルバラードとアリバーシャは対立しているとのこと。
ナムは人質を送り、バルバラード王に忠誠を誓ったとのこと。
だが、この件はロマリアが裏で糸を引いているのは間違いない。
ラタは、アークたちに人質を救出して欲しいという。

アークたちは人質を救出すべく、テュケの洞窟へ行った。
奥に、女性の死体があった。傍らに手紙が置かれている。
「最愛の息子、ナム、ラタへ」と書いてある。この女性が二人の母だろう。
手紙を持って、ラタの元へと帰った。兄弟はテントで話し合いをしていた。
だがいつまでたっても平行線のままだった。
アークたちは二人に手紙を差し出した。
「我が息子ナム、貴方がこの手紙を読んでいるという事は、怒りにまかせて自分が何をしているかに
気付いたということでしょうか。今の貴方なら、私の言う事も理解してくれると思います。
どうかアリバーシャを倒そうなどという考えは捨てて下さい。
憎しみは新たな憎しみ以外の何も生み出しません。
ナムよ、『戦わない勇気』も時には必要です。誇り高く、責任感の強い貴方には辛い時もあるでしょうが、
そんな時にラタを頼る事を端とは思わないで下さい。
一人では難しい事も二人ならきっと乗り越えて行ける。二人とも、私の大切な息子なのだから」
母親が死んだと知って、ナムは取り乱している。
「何故だ!直接バルバラード王に確認する!」
ナムはテントを飛び出して、ピラミッドに向かった。アークたちも後を追う。
「サリュ族族長、ナムの名において封印を解く!」
すると砂嵐はおさまった。ピラミッドの入り口からカサドールという男が出てきた。
「何だ、族長とあろう者が血相を変えて。人質の事だな。今頃気付いたって訳か、親不孝者め!」
カサドールはこの一件にはロマリアが噛んでいることや、自分が兄弟の母を殺したという事を話す。
そして族長がいない隙にサリュ族を虐殺しようとしている事も。
そのとき、ラタが駆けつけてきた。ラタがサリュ族の皆を避難させたという。
ナムとラタを帰らせて、アークたちはカサドールを倒し、ピラミッド内部へ入る。
途中にはなぞなぞを出してくるスフィンクスもいる。最奥の部屋へ。カサドールがまた出てきた。
「さーて、貴様らの首と引き換えにロマリア将軍の称号を貰うとするか」
カサドールはモンスターに姿を変えて襲い掛かってきたが、倒した。
「これか?ここの洗脳兵器は。こんなもんのためにどれだけの人達が!」
「怒り、悲しみ、憎しみ・・・。心に出来た暗い影に、奴らは見逃さず滑り込んでくる。
俺たちの真の敵は、一人一人の心の中にいるのかも知れん」
アークはそんなことを言った。洗脳装置を壊し、ピラミッドを出る。

サリュ族の元へと戻る。
「ありがとうございました。・・・俺は、間違っていたのでしょうか?」
問い掛けるナムにアークは答える。
「結果的には間違っていたかも知れない。が、それも仲間を思う気持ちが間違わせたのであって、
その事で貴方を責める人はいないと思うが」
「ナム様は悪くない!」
「そうだ、一番辛い思いをしたのがナム様じゃないか」
サリュ族の人々は口々に言った。
「みんな・・・。今回の事は、全てロマリアのはかりごとだったとは・・・。
ラタ、俺は、部族を出ようと思う。俺なんかより、お前の方が立派な族長になるだろう。
そして俺はアリバーシャとバルバラードを和解させるために残りの人生を使おうと思う」
ナムはそう言った。
「兄上、それは無責任というものでしょう。それは一見、責任を取るように見えて、実は
責任の放棄に他ならないじゃないですか。責任を取るつもりなら、これからも
族長として皆の為に尽くすべきです」
ラタが言った。サリュ族の人々も、口々に、ナムに族長を続けて欲しいと言う。
「分かったよ。失敗ばかりの族長だが、これからもよろしく頼む。ラタ、頼りにしている」
「皆で頑張りましょう。それが母上への供養にもなるはずです」
ナムとラタは手を取り合った。
こうしてバルバラードでの殉教者計画は阻止された。

17.緋色の絆

シルバーノアの作戦室。
「チョンガラ、次はどこだ?」
「アーク、驚くんじゃないぞ。何と、スメリアから反応が出とるんじゃ」
「パレンシアタワーか」
「たぶんな。アンデルの考えそうな事じゃ。奴には、借りがあるんじゃ。
ここらできっちり返さんとな。さあ、発進じゃ!」

ポコの勧めにより、アークはククルに会いに行った。
「アーク、久し振りね、本当に」
「ククル、一人で大丈夫かい?」
「アークたちが世界の運命を背負って戦っているんだもの。私だけ、そんな簡単にめげてられないよ」
「・・・あの日から、俺たちの運命は、もう止められなくなった。
ククル、世界が再び元の調和を取り戻せたら、その時は、二人で静かに暮らしていこう」
「そうね、そのために戦ってるんですものね」

パレンシアの町に行き、酒場に入る。
「トッシュ、トッシュじゃねぇか!」
マスターがトッシュに話し掛けてきた。
「ああ、久し振りだな。ここは相変わらず酒臭ぇな」
「それが久し振りの店に対して言う事かよ。それよりトッシュ、モンジ親分にはもう会ったか?」
「・・・オヤジが生きてるのか?」
モンジは死んだと思われていたのに、生きていたとは。
「ああ、でもなぁ、もう昔のモンジ親分じゃねぇのよ。アンデルに抵抗する奴らを斬り捨てているのが、
今のモンジ親分さ」
「そんな馬鹿な、オヤジがそんな事をする訳がねぇ。いいかげんな事を言うんじゃねぇぞ!」
トッシュは酒場を飛び出して行った。
「お願いです、子供だけは・・・」
母親と子供が、兵士に囲まれているところに出くわす。そこにはモンジもいる。
モンジは母親を殴った。トッシュはモンジの前に飛び出した。
「やめろ!オヤジ、本当にオヤジなのか?」
「トッシュじゃねぇか。お前を呼び寄せるために、何人この町の人間を斬った事か・・・」
モンジは、トッシュと真剣勝負が出来なかったのが心残りで、
こうして町の人々を斬っていると言う。
「さあ、早くその刀を抜かんか」
モンジはトッシュを急かす。だが、トッシュは動かない。
「俺には出来ねぇ。オヤジを斬るなんて俺には・・・」
「パレンシアタワーに来るがいい。そこで最後の決着をつけようではないか。
楽しみにしているぞ、トッシュ」
モンジは去っていった。
トッシュは一人でパレンシアタワーに行ってしまった。アークたちがトッシュを追いかけることになった。
途中、モンスターの群れにトッシュが苦戦しているところに、アークたちが追いついた。
トッシュたちはパレンシアタワーを上っていく。最上階にモンジが待っていた。
「待ち兼ねたぞ、トッシュ」
アークが飛び出そうとするが、それをトッシュが制した。
「この事だけは、誰にも譲れねぇ。手出しもしねぇでくれ」
「いい目だ。お前と戦う事が、わしの二十年間押さえてきた望み。今ここで、その望みが果たされる!」
やはり、モンジは操られているようだ。言動がおかしい。トッシュとモンジの一騎打ちが始まる。
「真空斬!」
モンジは倒れる。
「どうした?昔より腕が落ちたんじゃねぇか?」
「ぬうう・・・道連れだ・・・このわしの中に流れ込んでいる暗黒の力を、
一気に高め爆発させる!お前らを、タワーもろとも吹き飛ばしてやるわ!!」
モンジは自爆しようとしている。
「やめろ、やめてくれ、オヤジ・・・」
そのとき、トッシュの耳にモンジの心の声が聞こえてきた。
”トッシュ、よく聞け。わしの体は、邪悪な術に支配されている。この術を破る方法は一つ。
わしの体に流れ込む暗黒の力を断つ事”
「どうすればいい?」
”『紋次斬り』だ。前に一度見せた事があるだろう”
「昔やったときは、出来なかったんだぜ。それに、そんな事をしたらオヤジは・・・」
”トッシュ、わしはもう、この世にはいない。そして、今のお前なら出来るはずだ!
わしを信じろ、時間が無い!”
トッシュは決心し、刀を構えて集中する。
「オヤジよぉ、またあの場所で一緒に酒を飲みてぇなぁ・・・。あばよ!!」
トッシュは紋次斬りを放つ。
「ば、馬鹿な、力が逃げていく・・・。見事だ、トッシュ」
暗黒の力が抜け、モンジは正気に戻った。
「奴らは、わしが心の底に押さえつけていた強さへの執着心を利用し、わしを操っていた。
だが、お前がそれを断ち切ってくれた。ありがとうよ」
「オヤジ、俺は、あんたを・・・」
「何も言うな。わしは、お前に救ってもらったのだぞ。わしの紋次斬りも会得したようだな。
これで思い残す事は無い。全ての人間の持つ『負』の感情に付け込み、モンスター化させるのが
奴らのやり方。心してかかれ。・・・最後に会えて嬉しかったぞ、わしの自慢の息子・・・」
モンジは静かに息を引き取った。
「オヤジ?そんな・・・馬鹿野郎、俺だって話したいことが沢山・・・オヤジぃ!!」
パレンシアタワーをさらに上っていき、ボスモンスターを倒す。
アークの父親ヨシュアと、母親ポルタが捕まっている場所まで来た。
「父さん!母さんは?」
「気を失っているだけだ。大丈夫だ」
アークは胸を撫で下ろす。
「良かった。父さんが、僕や母さんを捨てた訳じゃないって事は、とっくに判ってた。
父さんが望んだ通り、俺は仲間たちと世界を回り、精霊たちの声を聞いたんだ。
その内に少しずつ解ってきたんだ。世界の事、そして父さんの気持ちが・・・」
ヨシュアはアークとポルタを置き去りにして、旅に出ていたのだった。
「アーク、大きく成長したな。今ほど、お前の親である事を誇らしく思った事はないぞ」
ヨシュアはシオン山に入った時の事を語る。ヨシュアはシオン山で、精霊に命を捧げたという。
その代償として、時間を自由に行き来できる力を授かった。その力を使い、
陰ながらアークを支えてきたのだという。
パレンシアタワーが激しく揺れ出した。もう脱出しないと危ない。
そのとき、壁が壊れ、その穴からチョンガラが現れた。シルバーノアが横付けされている。
「何をしておる、早く来んかい!」
皆はシルバーノアに乗り込む。
「さあ、父さんも早く!」
「シルバーノア・・・懐かしいな」
ヨシュアは抱きかかえていたポルタをアークに渡した。だが、ヨシュア自身は動こうとしない。
「うぐっ!」
ヨシュアは吐血してしまう。
「今までのツケが回って来たようだ。時を旅する力は、神ならぬ者が使うのには重すぎるのだ。
私の旅も、この辺りが限界か」
”逃がすものか・・・”
先程倒したボスモンスターがアークたちに迫って来た。
ヨシュアはボスモンスターの前に立ち塞がる。
「我が心はいつもお前の側にある。それを忘れるな!行け!未来は、まだ決まっていない!
進み続けるのだ、アーク!仲間と共に!」
アークはシルバーノアに乗り込んだ。
「我が意思は、息子アークに引き継がれた!これでもう思い残す事はない!
化け物め、王家の血をなめるでないぞ!」

トウヴィルに帰ってきたアークたち。
アークは一人、落ち込んでいる。
「俺は、今まで何をしてきたんだろう・・・。世界を、人々を救う為に戦ってきた。
しかし、大切な人の命さえ救う事が出来なかった。この俺に世界を救う事など出来る訳ない」
ククルがやって来て、アークに声をかける。
「お父さんを助けられなかったのは、貴方のせいじゃない」
「だが、助ける事が出来なかったのは事実だ!精霊の力も、勇者の力も、
そんな物持っていたって意味がない」
「しっかりしてよ、アーク!貴方一人で世界が救えるとでも思っていたの?
仲間がいるから、みんなが力を合わせるから、世界を救う事が出来るのよ。
みんなこの世界を守る為に戦っているんじゃない。悲しい事を言わないで。
お父さんだって、その思いを貴方に託したはずよ。お父さんのやって来た事を無駄にするつもりなの?」
「・・・そうだな。感傷に浸るには、まだ早過ぎる。全てが終わるまでは・・・」

18.聖柩

シルバーノアの作戦室に一同は集合する。
「殉教者の塔はまだ北極と南極に残っている。だが、アンデルの居場所と目的ははっきりした。
奴は、北極と南極の塔、どちらかにいる。そこで、闇の力を復活させようと準備を整えているだろう」
パーティを二つに分け、北極と南極の塔を同時に攻略することになった。
北極の塔はアークがリーダー、南極の塔はエルクがリーダーだ。

北極の塔にアンデルはいた。
「アークか・・・。どこまで私の邪魔をすれば気が済むのだ」
「アンデル、最早お前と話す事は無い。今までの行い、お前の命で償え!」
「でかい口を叩くな、小僧。お前の力など恐るるに足らんわ。もうすぐこの世界の全てがあの方のものになるのだ。
あれのお陰でな!」
アンデルの指差した先には聖柩があった。
「既に人間たちの欲望は負のエネルギーとなってこの聖柩の中に蓄えられている。
この聖柩がある限り、絶対の力を手に入れる事が出来るのだ!」
「ならば、その力を打ち砕く!このままお前の思い通りにはさせない!!」
モンスター化したアンデルとの決戦。そしてアークたちは勝利する。
「これが、勇者の力だ!思い知ったか!」
だがアンデルは笑っている。
「アークよ、もう遅いのだ。既に準備は整っている。私の役目も終わる。黙って見ているがいい」
アンデルは聖柩を壊した。
「この聖柩は、力と共に我が偉大なる王を封じた忌まわしき封印。
これで王の復活を止めるものは無くなった。これで世界は我々の物だ・・・」
アンデルは動かなくなった。

19.闇の胎動

殉教者の塔は全て消えた。後は、ロマリア本国に攻め込むだけだ。
クズ鉄の町に行ってみる。
「トッシュさんじゃないか!」
ダニーが元気に走り回っていた。一人だけでもまだレジスタンスだと言い張っている。
「なあ、あんたロマリアを倒しに来たんだろう?だったらオレにも手伝わせてくれよ」
レジスタンスのアジトで作戦会議。やはり列車が通っているトンネルから入ろうということになった。
次から次へとやってくる兵士たちを倒しながらひたすら進み、トンネルを抜けて市街地へ。
「お役に立てて光栄です。それでは、皆さん頑張って下さい」
ダニーと別れて、ロマリアの地下道へ入る。地下道を通って、ロマリア城へ入ろうとする所で、
四将軍の最後の一人、ザルバドが立ち塞がった。
「よくここまで来れたものだ、誉めてやろう。だが、ロマリアをなめてもらっては困る。
貴様らはこの城には入れん!」
ザルバドは城に逃げ込む。地面が揺れだし、そしてなんと、城が空中に浮かんだ。
空中に浮かんだ城は、巨大な四角錐の形だ。
「ちっ、あんな仕掛けがあったとはな」
アークたちはシルバーノアに乗る。
「チョンガラ、シルバーノアを発進させろ!」
シルバーノアは空中城に突っ込み、壁に穴を空けて止まった。壁の穴から中に入る。
奥に進み、ザルバドの元までやって来た。
「雑魚に用は無ぇ。そこをどきな!」
「そうはいかん、もうすぐ偉大なる王が復活するのだ。邪魔はさせん!」
「ロマリア王が闇の力を復活させるというのか?」
「モンスターである我々は、自らの手で偉大なる王を復活させる事は出来ん。
そこで、欲に濡れた人間共を利用する事を考えたのだ。
奴らのお陰で、この世界の精霊力は無くなりつつある。
そして、限界に達したときに我が偉大なる王が復活を果たし、この世界は一気に崩壊する。
我々の新しい世界が始まるのだ。わしを倒して進めるのならば進め!」
ザルバドを倒す。
「人間がここまで頑張るとはな。しかし、わしを倒した先に、お前たちが目にする物は
人間の愚かさ、醜さ、自分たちの無力さだけだ。進むがいい、絶望への道を」

アークたちはついに、ロマリア王ガイデルの元へとやってきた。
ガイデルは封印を解こうとしている所だった。
「もうやめるんだ、ガイデル!」
闇の王は置かれた巨大な鏡からガイデルに囁く。
「惑わされてはいけません。こいつらは貴方に代わってこの世界の王になるつもりなのです。
さあ、貴方の最後の切り札を今こそ見せてやるのです」
「聞くんじゃない!頼む、お前に人の心が残っているのなら・・・」
アークの説得も効果が無かった。
「わ、わしじゃない。貴様らが悪いのだ。わしをここまで追い詰めなければ、
こんな事にはならなかったのだ!」
ガイデルは封印を解いてしまう。

トウヴィルの神殿。地震が起きている。
「これは、まさか・・・。封印が破られた?闇の力が復活する!」
ククルの目の前に、闇黒の支配者が姿を現す。
「フフフ、ワイトの血を引く娘よ。貴様の張った結界は愚かな人間共のお陰で消え去った。
信じていたものに裏切られた気分はどうだ?」
「結界を破ったくらいででかい口叩かないで。私にはまだ、信じる人も守るものも残っているわ!」
闇黒の支配者とククルの一騎打ち。そして、ククルは破れる。
「所詮はこの程度か」
「アーク・・・」
ククルは闇黒の支配者に取り込まれてしまう。

20.輝の少年

空中城の最奥部。
「ガイデル、お前の役目は終わった。消え去るがいい」
闇の王の態度が豹変する。鏡が割れて、そこから光線が飛び出し、ガイデルは消滅した。
そして、割れた鏡から闇黒の支配者が出てきた。
「ご苦労だったな、アーク。お前がガイデルを追い詰めてくれたお陰で、私は復活する事が出来たのだ」
「貴様、最初からそれが狙いだったのか・・・」
「そうだ、お前たちが頑張るほど、ガイデルは恐怖したのだ。私は人間の負の意志によって復活する。
お前たち人間の欲深い本性によって、私はここに復活したのだ!」
「確かに人間は弱い生き物だ。だが、それが全てではない」
「フフフ、あの小娘も同じ事を言っておったな。既に、私の体の一部だがな!」
ククルが闇黒の支配者に取り込まれたと聞いて、アークは愕然とする。
「安心しろ、お前たちもすぐ取り込んでやる。そして、その力でこの世界の全てを手にいれようぞ!」

アークたちは、厳しい戦いの末に闇黒の支配者を倒す。
「人間がこれほどの力を持っているとはな・・・。だが、私を倒す事は出来ん!」
倒したのに死なない闇黒の支配者。だが、そのとき、闇黒の支配者の動きが止った。
「か、身体が・・・!」
”しっかりして、アーク!”
アークの耳にククルの声が聞こえてきた。
”アーク、よく聞いて。私が動きを止めている間に、闇黒の支配者を封印するのよ!
聖柩は破壊されてしまったけど、貴方の力なら出来る!”
それを聞いて、闇黒の支配者は言う。
「アークよ、私を封印すれば貴様の命も無くなるのだぞ。考えても見よ・・・
この世界が命を賭ける価値がある物なのか・・・」
だがアークは剣を構えて言った。
「・・・俺は、人間を、この世界の未来を信じる!
精霊よ、我が剣に宿り、古よりの災いを振り払う力を与えよ!
闇黒の支配者よ!全ての怒りを、悲しみを思い知れ!」
アークの力の全てが剣に注ぎ込まれる。その剣が闇黒の支配者に振り下ろされる。
「私は、いつか再び復活する・・・愚かな人間がいる限り・・・必ずな!!」
そう言い残して闇黒の支配者は消える。アークは絶命した。
空中城から出てきた一同は、外がひどい有様になっているので驚く。
「俺たちは何の為に戦って来たんだ?アーク、あんた、何の為に死んだんだ?
こんな絶望しかない未来を俺たちに見せる為なのか?世界が滅びちまったのに・・・。
俺たちだけ生き残って、どうなるってんだ!」
そう言うエルクに寄り添うリーザ。二人の耳に懐かしい声が聞こえてくる。
”まだ終わっちゃいないさ”
”希望を捨てないかぎりはね”
二人の前に、アークとククルの魂が現れた。
”世界は荒廃してしまったが、消えてしまった訳じゃない。生き残った者でやり直すんだ”
”私たちは、生き残った命に光を与えに行きます。再生する世界への希望と言う光をね”
”それが僕たちの最後の仕事だ。この世界を、もう一度生まれ変わらせるのは、君たちの子供なんだ。
エルク、頼んだよ”
アークとククルの魂は、世界中を巡った後、天に昇っていった。

終わり

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